※2023年6月13日配信メルマガVol.232より抜粋(一部加筆修正あり)
半導体の需要が増加
ChatGPTなどの、指示を与えることで文章や画像を作り出す
「生成AI」の発展に伴い、
最近は半導体市場の需要が回復し始めているそうです。
2017年からGoogleが開発した手法により自然言語処理能力が向上したことで、
生成AIの開発が激化し始めました。
それに伴い、AIによる膨大な量の計算処理を行える
GPU(画像処理半導体)等の需要が増しているのですね。
日本の半導体産業のシェアが低下した理由
そして半導体といえば、1980年代には日本がシェア50%以上を占めて
世界をリードしていましたが、
2022年には6.2%にまで落ち込んでしまいました(英Omdia調べ)。
一体なぜここまで力を失ってしまったのでしょうか?
政治的なものも含めて、様々な原因がありますが、
その一つとして、日本の半導体メーカーが、
半導体製造装置のメーカーから買ってきた装置で
半導体を作るようになったことも挙げられます。
つまり、同じ半導体製造装置があれば、
同じ品質の半導体が作れるのだから、
もっとコストの安い韓国や台湾などのメーカーに
価格競争で負けてしまったのです。
もし、半導体製造装置を作る技術を自分たちで持っていれば、
このような状況にはならなかったかもしれません。
半導体と真逆のやり方で世界シェアNo.1を維持するメーカー
これと真逆のやり方で、ある分野で世界シェアNo.1を維持している
日本のメーカーがあります。
ファスナー業界のトップメーカーである「YKK」です。
国内ではなんと95%、世界でも45%のシェアを誇っています。
試しに今着ている洋服や持っているバッグのファスナーをご覧になってみてください。
「YKK」というブランド名が刻印されているかもしれませんね。
YKKがここまでシェアを維持している理由の1つとして、
ファスナーを作るための素材の調達から工作機械の開発まで自社で行っており、
海外の取引先でもその機械を使ってもらっているのですが、
肝心な「ファスナーを作る機械の作り方(製造工程)」については、
一切秘密にして、世の中に公開していないから、
ということが考えられます。
ファスナーを作る機械があれば、同じ品質のものは作れるけど、
ファスナーを作る機械の作り方がわからないので、
他社は真似しようにも真似できない、というわけなのです。
ちなみに、タイヤメーカーのトップシェアのミシュランも、
細かい製造工程は公開していないと言われています。
競争優位を維持するために特許出願しない
したがって、長期的に競争優位な状態を維持するために、
どの部分を自社で押さえておくべきなのかを
よく考えてビジネスを組み立てることが大事なのですね。
そして、今は情報がなんでもオープンになりがちな世の中で、
特許出願も情報を公開してしまう行為の一つではありますが、
肝心なところは特許出願もせずに秘密にしておく、
という判断はとても大切なのです。
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