※2024年12月3日配信メルマガVol.309より抜粋(一部加筆修正あり)
「授業をしない塾」で有名になった「武田塾」
「授業をしない塾」。
この一言を見ただけで、「え、どういうこと?」と気になりますよね。
実は、この“意外性”こそがブランドを一気に広める力を持っています。しかも、商標登録とセットで戦略的に設計すれば、その効果は何倍にもなるのです。
この記事では、「武田塾」の事例を通じて、
- なぜ意外性のあるコンセプトが記憶に残るのか
- ブランド戦略と商標登録をどう組み合わせると強くなるのか
を、実務視点で解説します。
「意外性」のあるコンセプトで人の記憶に残す
ビジネスのコンセプトを作る際、
できれば人が驚いたり感動したりするようなインパクトを与えられた方が、
印象に残りやすく、覚えてもらいやすいですよね。
そんなインパクトあるコンセプトが作るために
重要なキーワードが「意外性」です。
正反対のもの同士や、常識と非常識をくっつけることで、
人は「意外性」を感じて注目しやすく、
記憶にも残りやすくなります。
しかも、「意外性」ということは、
まだ顕在化されていない潜在ニーズにアプローチしている可能性があるので、
潜在顧客や未開拓の顧客層を掘り起こすことにもつながります。
「授業をしない塾」とは?
今回取り上げた「武田塾」は「授業をしない塾」として話題になりました。
普通、学習塾では授業を行うことが常識ですよね。
どの塾でも授業の質を争っていますし、
授業こそが学習塾のサービスの根幹です。
ところが「武田塾」には「授業をしない塾」と書いてある。
「それってどういうこと?」
と「意外性」を感じて興味を惹かれるわけです。
実際の内容は、
学習の場所を提供して、1人ひとりのペースに合わせて、
生徒の自主学習をサポートするというスタイル。
既存の学習塾では、一方的に授業を聞くだけで受け身のままだし、
周りについていくこともできず、
なかなか成績が伸びないという悩みがあったわけです。
その点、武田塾では、
生徒の自主性を重んじながら
個別に合わせた指導をしてくれるという、
ありそうでなかったコンセプトで展開しているんですね。
それが「授業をしない塾」というネーミングで表されて、
多くの親御さんや学生たちに刺さりました。
今では全国にFC展開を進め、400校を超えているようです。
登録可能性を高めるための商標戦略
ちなみに、「武田塾」に「授業をしない」の語を含めた形のロゴで、
商標登録されています(商標登録第5300398号他)。
(商標登録第5989018号公報より引用)
「武田塾」だけだと、ありふれた氏とサービス名の組み合わせに過ぎないので、
商標登録できない可能性があるのです。
そこで、「授業をしない」の語を含めることで
商標登録の可能性は高まるし、
コンセプトとセットで塾名を伝えることができ、
覚えてもらいやすくなるメリットもあるのです。
しかも「日本初」をつけることで信頼感が増し、
類似の業態が出てきた時も比較して選ばれやすくなるメリットもあります。
このように、コンセプト、ネーミング、商標、ブランディングは
一体化して考えることが大切です。