一般社団法人や商工会議所、NPO法人等のブランド管理に使える「団体商標」とは?

一般社団法人や商工会議所、NPO法人等のブランド管理に使える「団体商標」とは?

商標法第7条に規定する団体商標とは、一般社団法人・事業協同組合の団体が構成員に使用させる商標であり、その商標が使用された商品や役務が構成員によるものであることを示します。

1. 団体商標の概要(商標法7条)

  • 登録対象団体:一般社団法人、事業協同組合等(法人格を有しないものや会社を除く)
  • 使用主体:団体自身ではなく構成員が使用することを前提とします
  • 3条1項柱書についての特例対応:「自己又は構成員の使用」として扱われます
  • 証明書類:出願時に、登録対象法人であることを証明する書面が必要です

登録要件

  1. 商標登録出願人が一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人であること。
  2. 商標登録を受けようとする商標がその構成員に使用をさせる商標であること。
  3. 商標登録出願人が商標法第7条第1項に規定する法人であることを証明する書類を提出しなければならないこと。

2. 地域団体商標との違い(商標法7条の2)

  • 地域団体商標は、地域名+商品・役務の普通名称等を組み合わせたもので、地域ブランド保護が目的
  • 団体商標の一種であり、商標法第7条の2により別途定義されます

3. 登録要件と申請手続き

主体・公証要件

  • 登録要件を満たす団体であることを登記事項証明書等で証明
  • 具体的には、
    一般社団法人(公益社団法人を含む)
    商工会議所やNPO法人等の社団
    ・事業協同組合
    ・農業協同組合や商工組合等の特別の法律により設立された組合
    が対象になります
  • 対象外の例
    株式会社(フランチャイズチェーン等も×)、合資会社等
    一般財団法人(公益財団法人を含む)
    医療法人や学校法人や宗教法人等の特別の法律により設立された財団
    法人格のない団体
    等が対象外です

構成員使用要件

  • 商標が構成員に使用させるものであることが明確であること(構成員が使用すれば、当該団体自身が使用しなくてもOK)
    ⇒団体構成員は個別の契約なしで、当該団体が定める規約に従って団体商標を使用できる
    ⇒その代わり、団体は団体商標の使用条件をあらかじめ決めておくことができる

通常審査要件

  • 商標法第3条(識別力など)、第4条の一般的登録要件も適用されます

4. 実務でのポイント

  • 提出書類の不備は補正命令の対象となるため、事前準備が重要
  • 団体構成員は団体商標権の侵害に対する権利行使(差止請求や損害賠償等)ができないので、団体自体が行うことになる
  • 団体商標の商標権を移転するときは、「その旨を記載した書面」及び「第7条第3項に規定する書面(登録要件を満たす団体であることを証明する書面)」を移転申請と同時に提出しないと、通常の商標権に変更される

5. 団体商標の活用ケース(登録例)

業界団体が業界統一ブランドとして団体商標を登録・管理

※団体商標の登録例

一般社団法人安納いもブランド推進本部(登録第6838284号)
公益社団法人全日本不動産協会(登録第6194211号)
福岡有明海漁業協同組合連合会(登録第6936478号)
コンソルツィオ・ペル・ラ・トゥテラ・デル・フォルマッジョ・ゴルゴンゾーラ(登録第6271852号)
GORGONZOLA
特定非営利活動法人家づくり援護会(登録第6036383号)
匠の道具箱
うるま市商工会(登録第6219951号)
伝統神ウルマー

まとめ

団体商標(商標法7条)は、団体が構成員に使用を許諾する標章を登録できる制度です。団体の法人格・構成員使用実態・証明書類・審査要件をしっかり準備すれば、構成員による共通ブランドの統制や信頼性向上に役立ちます。不明点や戦略設計については、商標専門弁理士へご相談ください。