「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。
突然ですが、問題。
「千葉」「岡山」「和歌山」。
この3県の共通点はなんだかわかりますか?
「岡山」と「和歌山」は発音が似ているけど、、、
それは関係ないとして。
特産品?
面積が近いとか?
はたまた平均気温か何か?
正解は、
「3県とも、県名が中国で無断で商標登録されてしまったこと!」
です。
中国ではよく日本の地名が、勝手に商標出願・商標登録されています。
他にも、
「青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、群馬、埼玉、神奈川、富山、石川、福井、長野、岐阜、愛知、三重、京都、島根、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、熊本、宮崎」
などが、中国で商標登録されてしまいました。
このように、
本来出願する権利がないのに無断で出願することを、「冒認(ぼうにん)出願」といいます。
冒認出願の結果、その商標が登録された場合には、どんな弊害があるのでしょうか?
例えば、その商標を付した商品を製造販売する際に、
相手から商標権侵害を訴えられて、事業ができなくなる可能性があります。
その商標を使用したいなら、使用料を払えと言われるかもしれません。
あるいは、商標の変更のために、多大なコストを負担することにもなりかねません。
また、登録した商標を、高額で売り付けてくることも考えられます。
こちらとしては、商標登録していない弱みがあるし、
裁判で争う費用も時間ももったいないから、
適当なところでお金で解決…ということだってありうるのです。
ちなみに、中国商標法には、”公然知られた外国地名は登録できない”旨の規定がありますが、中国で”公然知られた”外国地名かどうかは膨大な証拠で立証しなければならず、負担が大きいのです。
とても理不尽なことで、到底受け入れがたいですが、
「先に出願した者勝ち」が原則の世界では、
やはりいち早くこちら側が出願を済ませることが、一番の対策になります。
では、もし相手に冒認商標出願・登録されてしまったら、
泣き寝入りするしかないのでしょうか?
国によって制度は異なりますが、この場合は、登録に異議を申し立てたり、登録の無効を請求したりできる可能性があります。
なので、すぐにあきらめる必要はありません。
とはいえ、異議申立や無効審判請求は、
費用も時間もかかり、エネルギーを消耗する手続です。
だから、問題が起きる前に、外国商標出願を済ませることが重要なのですね。