商標出願で失敗しない!指定商品・役務の選び方を弁理士が解説

商標出願で失敗しない!指定商品・役務の選び方を弁理士が解説

指定商品・役務のミスが商標出願を左右する理由とは?

商標出願では「商標そのもの」だけでなく、「指定商品・役務(サービス)」の記載が極めて重要です。

適切に指定されていないと、登録できなかったり、せっかく登録しても実際のビジネスに活かせないなど、大きな問題に繋がる可能性があります。

今回は、商標専門弁理士が、指定商品・役務の選び方と失敗しないポイントを解説します。

商標出願における「指定商品・役務」とは?

指定が必要な理由と商標の効力との関係

商標は「どのような商品・サービス(役務)に使うか」を明確にしなければ登録できません。指定された範囲にだけ商標権の効力が及ぶため、適切な指定は権利の活用に直結します。

商品・役務の区分(クラス)とは何か?

商標制度では、商品や役務を45の「区分(クラス)」に分けて管理しています。

例えば、洋服は第25類、飲食サービスは第43類といった具合です。

自社のビジネス内容に合った区分を選定することが不可欠です。

※参考記事

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よくある失敗例とそのリスク

広すぎる指定で拒絶されるケース

実態のない商品・サービスを広く指定してしまうと、「使用意思がない」とみなされ拒絶理由になる場合があります。

特に個人出願ではこのようなミスが多く見られます。

狭すぎる指定で商標権が活かせないケース

逆に、来ビジネスとして展開したい商品やサービスを含めなかったために、競合の模倣を防げないケースもあります。

登録後の変更はできないため、最初の指定が非常に重要です。

指定商品・役務の記載が不明確なケース

さらに、指定商品・役務の記載が不明確であったり、区分の指定が不適切なケースもあります。

この場合は、商標法第6条第1項,第2項違反に該当し、登録することができないため、正しく指定することが大切です。

※参考記事

商標法第6条第1項,第2項違反の拒絶理由通知を受け取ったら?覆す方法を解説
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商標専門弁理士が教える、適切な指定の考え方

実際の事業内容に即した指定の作り方

実際に提供している商品・サービス今後展開予定の内容に即して、必要な区分と記載項目を選ぶことが大切です。

名称も特許庁が認める表現を使う必要があります。

類似群コードと審査基準の理解

商品や役務には「類似群コード」が付与されており、審査ではこのコード単位で類否判断がなされます。

これを理解することで、無駄な拒絶を避け、効率的な出願が可能になります。

ただし、願書には類似群コードを記載しませんので、ご注意ください。

「商品・役務サポートツール」等の活用法

「商品・役務サポートツール」

指定内容を検討する際には、特許庁が提供する「商品・役務サポートツール」が非常に便利です。

このツールを使えば、商品・役務名から対応する区分や類似群コード、標準的な記載例を簡単に検索することができます。

弁理士でなくとも、初期検討に非常に役立つツールなので、出願を考えている方は一度使ってみることをおすすめします。

「商品・サービス国際分類表」「類似商品・役務審査基準」

慣れてきた人は、「商品・サービス国際分類表」や「類似商品・役務審査基準」を参考にすると、さらに積極的な表現も可能です。商標の専門家は、こうしたツールをフル活用して、現在と将来の事業によりフィットした表現を選択しています。

出願後の変更や補正は可能か?

補正可能な範囲とそのタイミング

出願後でも、特許庁の審査が終わる前であれば、ある程度の補正は可能です。ただし、商品・役務の追加や大幅な変更はできず、基本的には「削除」か「限定」か「明確化」に限られます。

不使用取消リスクを避けるための注意点

広く指定しすぎて実際に使用していない商品・役務については、将来的に「不使用取消審判」を申し立てられるリスクがあります。

まとめと結論

指定商品・役務の選定は、商標出願において最も重要なステップのひとつです。広すぎず狭すぎず、事業内容に即した適切な範囲を明確に記載することが、商標の有効活用に繋がります。「商品・役務サポートツール」の活用や、弁理士との相談を通じて、精度の高い出願を目指しましょう。

商標専門弁理士に相談すべき理由とサポート内容

弁理士に相談することで、事業計画や将来展開を見据えた最適な指定内容を設計することができます。また、審査基準や類似群コードをふまえた的確な出願によって、スムーズな登録に繋がります。初めての方はもちろん、過去に出願で苦労された方も、ぜひ専門家のサポートをご活用ください。