「デコピン」関連商標が急増中
MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の愛犬の名前として知られる「デコピン」。
2023年12月ごろから、米国のみならず日本のメディアでもたくさん取り上げられ、公式グッズまで発売されて、広く話題となっていますよね。
そんな「デコピン」人気にあやかろうと、無関係の第三者による「デコピン」関係の商標出願が急増しています。なんと、2023年12月から19件も出願されているのです。
指定している分野は、「おもちゃ,人形」の分野、「洋服,ティーシャツ」の分野、「かばん類,傘」の分野、「飲料水,ビール」の分野、「キーホルダー」の分野など多岐にわたっています。
登録は無理。19件中1件も登録されていない
しかしながら、いずれも商標登録されていません。まだ結果が出ていないものを除いて、全てが審査で拒絶されているのです。おそらく今後も商標登録はできないと考えられます。
なぜかというと、今や「デコピン」の文字を使って、不特定多数の人がさまざまな商品やサービスを販売したり広告したりしている実情があるからです。
これにより、「デコピン」の文字を見ても、大谷選手の愛犬の「デコピン」のことだと理解するにとどまるので、特定の業者の出所を示すことができず、自社と他社の商品・役務を見分ける機能がないと判断されているのですね。
つまり、特定の人に商標登録を認めて独占させることが適切ではないため、審査で拒絶されているというわけです。
ロゴ化してもダメ?
また、中にはロゴ化したり、デコピンのような犬の絵と一緒の形で出願したりしているケースもありますが、こういった工夫をしても審査で拒絶されています。
なぜなら、大谷選手の愛犬「デコピン」を認識させるし、ドジャースや大谷選手を想起させるため、無関係の人が出願することは名声へのフリーライドに該当し、公序良俗に反すると考えられるからです。
それに、ドジャースや大谷選手の関係者だと混同させるおそれがあるので、登録を認めるわけにはいかないのです。
まとめ
以上より、商標「デコピン」は、カタカナや英文字表記しても登録できないし、ロゴ化したり図形を加えても登録できないと考えてもらえればよいかと思います。
「デコピン」という言葉自体は、話題になる遥か前からある既存の言葉なので、以前は登録が認められていたのですが、大谷選手の「デコピン」が話題になった後は、上記の理由で登録が極めて困難になったということです。
こういう話題になった単語を商標出願すると、仮に登録できたとしても、ネット等で叩かれて炎上する恐れもあるので、全くおすすめできません。
下手に話題に便乗してお金をドブに捨てるのではなく、きちんと自分のブランドを育てる意識で、ネーミングや商標出願に取り組んでくださいね。