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「色だけ」で商標が取れる?注目される色彩商標の制度とは
「商標」といえば文字やロゴを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実は、特定の「色彩」だけでも、条件を満たせば商標として登録が可能です。
この記事では、「色彩のみからなる商標」の定義、登録要件、登録事例、出願時の注意点まで、商標専門弁理士がわかりやすく解説します。
色彩のみからなる商標とは?
「色彩のみからなる商標」とは、文字・図形・記号・立体形状などの他の要素を伴わず、
特定の色や色の組合せだけで構成された商標です。
商標法第2条第1項柱書における「その他政令で定めるもの」に基づき、
商標法施行規則第4条の4によりその態様が定められ、2015年から出願が可能となりました。
登録のための要件
✅ 自他商品・役務識別力(識別性)があること
商標とは、「誰の商品・サービスか」を識別するための標識です。
色だけで構成された商標については、通常、識別性がないと判断されるため、
特定の色が「あの会社の商品」と結びついていることを証明する必要があります。
✅ 使用による識別力の獲得(セカンダリーミーニング)
原則、色だけでは登録できません。
長年にわたる一貫した使用、広告、売上実績などにより、消費者がその色を「自社のブランド」として認識していることを示す必要があります。
2025年5月20日時点で、過去に591件出願されたうち、たったの11件しか登録されていないので、相当ハードルが高いと言えます。
また、単色の出願は、著名な企業も含めてすべて拒絶されているので、まず登録は困難と考えてください。
実際に登録された色彩のみからなる商標の例(日本)
日本ではまだ登録例は多くありませんが、次のような事例があります:
※色彩のみからなる商標の登録例
これらはいずれも、その色の組合せを見るだけで「どこの会社か」が直感的に分かる状態になっていることが共通点です。
出願に必要な資料と注意点
✅ 色の指定とその再現方法
- 色彩のみからなる商標であることを明記
- 色の名称に加えて、RGB、CMYK、HSBなどの色彩表現を用いた詳細な数値指定が必要
- 色彩の割合、配置関係(順番・方向)なども「商標の詳細な説明」や画像で明確に示す
✅ 使用実績の証明資料
- 広告資料、売上実績、顧客調査など
- 使用年数、業界内での知名度などを裏付ける書面も必要
弁理士に相談するメリット
✅ 登録可能性の事前評価
- 識別性の有無、証明できる実績があるかどうかを事前にチェックし、出願可否を判断します
✅ 出願書類・資料の整備支援
- 色彩の指定方法、図面作成、証拠資料の整理など、審査に通るレベルでの資料作成をサポート
まとめ|「色」もブランド資産。保護には商標登録を
- 「あの色といえばあの会社」という状態は、企業にとって大きなブランド価値
- 色彩商標であれば、その色の組合せに独占的な使用権を得ることができ、競合の模倣を防げます
- 色でのブランディングを行っている方は、ぜひ商標専門弁理士にご相談ください