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勝手に掲載された店舗名…商標登録で削除できる?
「自分の店の情報が、許可なく口コミサイトに掲載されている」
「内容が事実と違っているのに、削除してもらえない」
「商標登録すれば、削除を強制できるのでは?」
このような疑問や不安を抱く店舗オーナーは少なくありません。
この記事では、商標専門弁理士の視点から、「商標登録によって店舗名の掲載を削除できるのか?」について、わかりやすく解説します。
商標権の効力とは?まず基本を確認
商標権とは、登録した商標を、指定された商品・サービスの範囲で、業として使用する他人を排除できる権利です。
つまり、「業として(自社の商品・サービスを表すマークとして)商標を使用する第三者」を対象に効力が及ぶものであり、情報提供や評価を目的とした使用には、必ずしも効力が及ぶわけではありません。
口コミサイトの掲載は商標権侵害になる?
✅ 原則:商標的使用でなければ侵害にならない
口コミサイトで店舗名が掲載されているだけでは、通常は以下のように評価されます。
- 情報提供や利用者の利便のために掲載されている
- 商品やサービスの出所を示す「商標的使用」ではない
- サイト運営者は、業としてその商標を使っているわけではない
したがって、商標法上の侵害に該当しないケースが大半です。
削除要請が可能なケースとは?
✅ 次のような事情があれば、対応してもらえる可能性があります
- 第三者が勝手に店舗名を使って、虚偽の営業情報を掲載している(なりすまし)
- 著名店舗名を無断で使用し、混同・誤認を生じさせている
- 虚偽の記述・悪意ある投稿によって営業妨害を受けている
- 名誉毀損やプライバシーの侵害に該当し得る投稿がされている
このような場合には、不正競争防止法・名誉毀損など、別の法的枠組みで対抗できる可能性があります。
商標登録は万能な削除ツールではない
商標を登録していても、それだけで口コミサイトに対して削除請求できるわけではありません。
- 商標登録は、正当な利用を制限するための権利ではない
- 口コミサイトは多くの場合、消費者の利便や正当な評価活動に基づいて運営されている
- 削除されるかどうかは、各サイトの掲載ポリシーや法的判断に委ねられます
ただし、商標権を保有していることで「権利者としての立場から交渉しやすくなる」という側面はあります。
弁理士に相談するメリット
✅ 適法か違法かを適切に判断できる
- 掲載内容が商標的使用に該当するのか
- 不正競争行為や営業妨害にあたるのか
- 他の法的手段(名誉毀損など)で対抗できるのか
商標専門弁理士は、商標法の枠を超えた法的判断も含め、適切な対応策を提案できます。
✅ 削除依頼・交渉・警告文の作成をサポート
- 必要に応じて弁護士と連携し、交渉・法的措置も可能
- 警告文や削除依頼文の表現内容や送付方法にも注意を払い、リスクを抑えた対応が可能です
まとめ|商標登録で削除は可能?現実はケースバイケース
- 商標登録だけでは、口コミサイトからの自動的な削除は難しい
- ただし、悪質なケースでは、商標権が有効な交渉材料になることもあります
- 対応に悩んだときは、商標専門弁理士に相談し、リスクを見極めたうえで適切なアクションを取りましょう