※2021年9月21日配信メルマガVol.142より抜粋(一部加筆修正あり)
商標が「組織の発展」に活躍
前回は、商標出願や商標登録を「投資」として捉えていただくために、
「ビジネスの発展」の側面から商標の活用方法についてシェアいたしました。
今回は、「組織の発展」の側面から商標の活用方法をご紹介いたします。
いつものように、特許庁の調査研究報告からシェアしつつ解説をしていきます。
※以下、引用符(””)部分は「商標権取得による効果及び商標制度の活用に関する調査研究報告書」より引用
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2018_01_zentai.pdf
①社員のモチベーション・士気が向上する
1つ目は、社員のモチベーション・士気が向上する点です。
商標と社員のモチベーションは、一見関係ないように思えます。
しかし、
商標出願をする過程で、自社が大切にしていることは何か、想いを整理することができた。(製造業)
とあるように、
自社のことをより深く理解するきっかけになり、
それが社員のやる気につながるのですね。
また、
自社商品の模倣品対策として商標権を取得したが、次第に商品にブランドをつけることから、ブランドとして商品を展開していくという風に会社の中で方向転換が行われた。(製造業)
といった報告にあるように、
「商品」起点ではなく「ブランド」起点でビジネス展開を考えるようになった企業もありました。
「ブランド」起点の何がいいのかと言うと、
既存の商品や既存の顧客に囚われず、
新しい商品、新しい顧客にアプローチしていけるので、
会社としてのステージが1段階上がるんですね。
さらに、
商標権を取得することで、販売に向けて社内の主力メンバーのモチベーションが向上した。(建設業)
とあるように、
わかりやすいモチベーション向上効果もあるようです。
例えば、石川県で主に工事事業を行っている「池元」では、
社内用の業務改善システムが同業他社からも評判になり、
売り出そうというときに、初めて商標権を取得しました。
すると、社内で「発売に向けてシステムを改善しよう」という声が上がり、
開発メンバーのモチベーションが上がったそうです。
②社内意識が統一される/社内の一体感を醸成してくれる
次は、社内意識が統一されること、社内の一体感を醸成してくれることです。
商標は会社のコンセプトを表すものと認識している。(製造業)
とあるように、商標は会社のコンセプトを端的に表すことができるので、
毎日商標に触れることで、否が応でもコンセプトを意識するようになるんですね。
その結果、
ブランドによって社内で共通認識が言語化でき、非言語の中でも社員の目線があっていることを感じる。(製造業)
ようになり、
社内での意思統一を図ることができるんですね。
組織が一丸となることの重要さは、どの経営者でも認識されているかと思いますが、
いくら朝礼などでガミガミ言っても伝わらない、聞く耳を持たない、
といったことがあるかと思います。
その点、ブランドを表す商標があることで、
あれこれ言わなくても、ブランドらしい在り方を社員が自発的に意識することにつながるんですね。
例えば、「ラブリコ」というブランドでDIY用品を展開している「平安伸銅工業」では、
「ラブリコ」の広告宣伝においてブランドイメージを伝えることに注力した結果、
「これはラブリコっぽくないからやめよう」
といったように、社内での意識の統一も図れるようになったそうです。
そして、
経営者の思いが一番伝わるのがブランディング。グループの一体感を醸成するためにグループで一貫したマークを使用する。(情報通信・情報サービス業)
とあるように、
経営者の思いを効果的に伝えて、社内の一体感を作ることで、
ブレることなく事業を拡大していくことができるんですね。
例えば、楽天では、ブランディングの担当部署はあるものの、
いまだに社長がブランド戦略の立案を担っているそうで、
グループの一体感を徹底して大事にしています。
③採用活動に有利に働く
最後は、採用活動に有利に働くことです。
ブランドの認知度が向上したことで、他県の学生が就職希望で来るというメリットも生じている。(製造業)
という報告でもわかるように、
ブランドのファンになった人に
「このブランドに仕事として関わりたい」という気持ちにさせることができるんですね。
例えば、紙関連製品を専門に扱う愛媛の総合商社「カミ商事」は、
採用活動において、自社の看板ブランド「エルモア」を前面に出しているそうです。
会社名には無反応でも、ブランド名を出すと理解してもらえて、
採用にも有利にはたらいているようですね。
したがって、ブランドは採用コストを下げることができるというわけです。
今では「採用ブランディング」という言葉もありますよね。
ブランドは、顧客や社員だけでなく、採用希望者をも惹きつける効果があるということです。
以上より、商標活用によって、
組織の発展の面でも効果を実感している企業が意外とあることがわかったかと思います。
ぜひ以上を参考に、商標を組織の発展にも活用してみてくださいね。
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