商標ブローカー(商標トロール)から連絡がきたらどう対応するか

商標ブローカー(商標トロール)から連絡がきたらどう対応するか

※2021年7月13日配信メルマガVol.132より抜粋(一部加筆修正あり)

権利侵害を匂わせる変な問い合わせ

先日、クライアントから、
「とある弁理士から、『〇〇社の製品のデザインと似ていませんか?』との問い合わせがあった」
とのご連絡がありました。

期限までの回答を求められたので、
「確かに似ているが、ありふれたデザインであり、
〇〇社も権利を保有していないので、問題ないのではないか」
といった旨の回答をしたところ、
その後返事がないとのことでした。

なんだか薄気味が悪いですね。

商標ブローカー(商標トロール)に注意

この件とはまた違ったケースですが、
世の中には「商標ブローカー」又は「商標トロール」などと呼ばれる存在があります。

例えば、なんの脈絡もなく突然、
貴社サービスは、当社の商標権侵害なので、権利を買ってください
ライセンス料を払ってください
ドメインネーム買ってください
などの要求が、内容証明で送られてくることがあるんですね。

こういった業者を「ブローカー」や「トロール」などと言って、
何の権限もなく言ってくることもありますが、
確かに商標権を取得していることもあります。

事例①ベストライセンス株式会社

有名なのが、ピコ太郎さんの「PPAP」を商標出願して話題となった、
ベストライセンス株式会社」がありますね。
代表の上田育弘氏は元弁理士で、
権利は取得せずに、出願料すら払わずに行う低コストな手法でしたが、
法の抜け穴をうまく活用して、このブローカービジネスをしていました。

過去形なのは、2018年の法改正で、
上田氏の手法が使いにくくなった
ため、
今はかなり細々とした活動になってしまったからです。
(もしかしたら別名義で暗躍しているかもしれませんが)

上田氏とは別の通常のブローカーは、
自分で権利を使用しない点は同じですが、
誰かに売りつけたり、使用料を取ったりするのを
より確実に実行するために、
ちゃんと権利を取ります

むしろ、権利を取ってない商標を見つけてから、
先に出願し登録を受けて、
「侵害ですよ」と脅して、
権利の買い取りや使用料支払いを請求する
んですね。

事例②知財防衛株式会社

例えば、「知財防衛株式会社」は、
主に任天堂を標的にしており、
任天堂と関係のありそうな商標を登録しています(任天堂以外の企業の商標も出願・登録しています)。
話題になった「公道カート」は彼らの商標登録です(その後、別の関係会社名義に移転)。
マリカー事件がニュースにもなりましたが、
どうやらこの会社が関わっているようです。

「お金を払って解決」は悪手

任天堂ほどの百戦錬磨の法務グループがあるならまだしも、
中小零細や個人事業が、
ブローカーから登録証などのそれらしい証明書類を
突きつけられたらどうでしょうか?
裁判になったら社会信用的にまずいから、お金を払って解決しよう」
などと考えてしまうのも無理はありません。

ところが、こういった要求に応じてしまうと、
ブローカーに利益が生まれてしまって、
更なる被害拡大につながる恐れがあります。

商標ブローカー(商標トロール)から連絡が来た場合の対応

では、いざそのような場面に遭遇したら、
どうしたらいいのでしょうか?

まずは権利の存在を確認

まずは本当にその権利が存在するのかを確認することです。
中には、権利が消滅しているのにも関わらず、
吹っかけてくる
こともあります。
あるいは、「商標が類似ではない」ものや、
指定商品・役務がカバーされてない」ものもあります。

相手の権利の取り消しや無効を検討

次に、相手の権利を取り消したり、無効にしたりできる可能性があるかを探ります。
権利は一度取られたらアウト、と言うわけではなく、
欠陥があれば、異議申立や取消審判や無効審判を請求して、
権利を消滅させることができます。

もちろん、お金も手間もかかりますが、
相手の要求に応じるよりは安上がり、ということもあるので、
有効な手段の1つです。

自社商標の変更を検討

それが難しそうだったら、
自社の商標を変更する余地があるかどうかを検討します。
商標を変更しても、問題ないのであれば、
その後に何か言われることもないからです。
ただし、相手方に過去の損害分を請求されることもあるので、
その点はご注意ください。

相手との交渉に臨むのはその後です。

弁理士や知財専門の弁護士に相談するのがベスト

ただ、こういった一連の手順を進めるには、
かなり専門的な知識も必要なので、
やはり弁理士や知財専門の弁護士などに
最初に相談する
のがベストな選択です。

下手に回答書を送って、相手に言質を取られたら、
交渉で不利になる
可能性があります。

なので、相手とコンタクトを取る前に、
まずはご相談されることをおすすめいたします。

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