防府市が方言をブランド化した方法

防府市が方言をブランド化した方法

※2020年12月22日配信メルマガVol.103より抜粋(一部加筆修正あり)

方言を地域ブランドに

山口県中南部の、周防灘に面している防府市では、
幸せます」という方言に目をつけて、商標登録してブランド化しています。
https://shiawasemasu-hofu.jp/

「幸せます」は、山口県の方言で
幸いです、嬉しく思います、助かります、ありがたいです、便利です
といった意味があるそう。
そこに「幸せを増す」という意味を付け加えて、
山口県立防府商工高等学校の生徒たちが、
防府の地域ブランドにしようと考えたのが始まりです。

コンセプト決定→商標出願→商標使用規定の見本のような流れ

ブランド化にあたっては、防府商工会議所が主体となって動きました。
まずはブランドコンセプトの策定。
これは「消費者が幸せを増す」に決定しました。

次に商標出願を行い、登録まで導きます。
かなり多岐の指定商品・役務分野にわたって登録されていますが、
一度に多額のお金をかけて全部取りに行くのではなく、
重要度の高そうなものから順に、何回かに分けて権利化しています。

そして、登録した「幸せます」の商標の使用に関する規定を定めます。
この規定をきちんと守れる企業等にのみ、商標の使用を認めることにしたのです。
商工会議所の会員でないと使用できないようですが、
使用料は年額5,000円と良心的な値段

所定の申請書に記入して申し込むと、
弁理士を含めた7名で構成される審査会の審査にかけられます。
これがユニークで、申請者の商品・サービスの
「技術・製法」「素材・品質」「デザイン」「ストーリー性」「組み合わせ」の要素のうち、
どれが
「幸いです」「嬉しく思います」「助かります」「ありがたいです」「便利です」
のどの意味に該当
するか、
具体的に記載する必要があるのです。
こうして、ちゃんとブランドコンセプトに合致しているかを審査しているんですね。

ロゴマークについては、デザインガイドを定め、
タテ組、ヨコ組、カラー、白黒のそれぞれについて、
配色や濃淡などを指定
しています。
ロゴマークを違った態様で使われてしまうと、
統一感のあるブランド展開ができない
からです。

地域一体でブランドを育てる姿勢が大事

審査の仕方も特徴があり、
きちんと不合格の理由と改善点も伝えているそうです。
防府商工高の授業の一環で、生徒たちが改善点を検討して提案することもあるのだとか。
これも「幸せを増す」のコンセプトゆえのポジティブな対応でしょうか。
まさに地域が一体となって、このブランドを育てていこうという気持ちが伝わってきますよね。

こうしてブランド化に取り組んだおかげで、
防府市まちの駅内の「幸せます」ブランドの販売コーナーだけで、
年間1,000万円以上は売り上げるようになったそうです。

方言から始まった地域ブランドですが、
単に商標登録で終わることなく、
ブランドコンセプトに基づいた、詳密なルール設定と運用こそが、
ブランド化に欠かせない過程だとわかりますね。

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