※2020年9月8日配信メルマガVol.88より抜粋(一部加筆修正あり)
最近の注目ワード「ワーケーション」
新しい言葉が世に広まり始めた時は、
Google検索だけではなく、
「商標検索」を併用してみることで、
その言葉を取り巻くビジネスのことが見えてきたりします。
例えば、最近は、新しい働き方のスタイルとして「ワーケーション」が注目されていますね。
そこでまずは「ワーケーション」について検索して見ます。
「ワーケーション」は、「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語。
旅先で休暇を楽しみながらテレワークを行う過ごし方で、
元々は有給取得率を上げるために、欧米で浸透していたスタイルでした。
非日常体験やリフレッシュを通じて、
幸福度を高めながら、生産性も向上させる効果が期待されています。
日本でも、近年の働き方改革と、コロナ禍の3密防止の要請が相まって、関心を引いているんですね。
次期総理の最有力候補である菅官房長官も、
7月27日の政府の会議で「ワーケーション」の支援を含む観光振興策について、
積極的な姿勢を表明しています↓
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f1e5569c5b638cfec4699af
そして、全国の自治体では、ワーケーションのバックアップが加速中。
2017年にいち早くPRを始めた、
和歌山県の和歌山市加太では、
昨冬に喫茶店(夏季のみ営業)の貸し出しの取り組みや
移住希望者の案内などを行いました。
https://www.nwn.jp/news/200808_kada/
「ワーケーション」で空き家問題解決
地方では「企業誘致」や「移住促進」というテーマもさることながら、
「空き家問題解決」の点でも、
ワーケーションに熱視線が送られています。
https://www.townnews.co.jp/0501/2020/08/14/538446.html
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2020/08/27/JD0059509144
というのも、これまでは民泊で空き家を利用したり、
別荘として購入をしたりしていた、海外からの客が、
コロナで全く来なくなってしまったからです。
他方、リモートワークできる環境が整ったとはいえ、
自宅ではなかなか仕事が捗らない、仕事をするスペースがない、
という事情を持つ人はいるため、
地方にもリモートワークできる拠点は求められています。
そこで、リモートワークに空き家を有効利用してもらう、
ついでに観光もしてもらう、ということで、
ワーケーションで空き家問題解決が可能となるのですね。
新語・流行語は「商標検索」してみよう
こういう新しいスタイルや概念を表す語が使われ始めると、
必ずと言っていいほど、関連する商標が出願されます。
そこで、商標検索の出番です。
「ワーケーション」関連で検索してみると、
最初に商標登録されたのは、
2019年4月25日に出願、2020年2月25日に登録された、
三菱地所の「WORK×ation Site」でした(登録第6229224号)。
企業に対して、ワーケーションをプランニングし、導入を支援する事業を展開しています。
https://workxation.mec.co.jp
その後も、ノグチHD社の「ワーケーション4.0∞」、DiverWorks社の「チームワーケーション」など、
様々な「ワーケーション」関連商標が出願・登録されています。
「ワーケーション」関連の事業を始めようとしているんだな、ということがわかるのですね。
あとは、これらの会社のウェブサイトにアクセスして、
どんな取り組みに商標を用いているのか、詳しく調べてみると、
どういうシーンでどんな意味合いで使っているのか、
などがわかります。
新語・流行語そのものの商標出願は注意が必要
ちなみに、「ワーケーション(Workation)」という言葉そのものは、
審査で拒絶されて、商標登録されませんでした。
「国土交通白書2018」には、すでに登場している言葉だったし、
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h29/hakusho/h30/html/n1131c01.html
多くの人や企業が、冒頭の意味で「ワーケーション」という言葉を使用していることもあり、
すでに「商品やサービスの内容の説明的な商標である」として、
登録できないと判断されてしまいました。
こういう新語が出てきたり、自分たちで新しい概念をキャッチーな造語にしたりすると、
商標登録をして自社で専有したいと考えますが、
すでに世の中で使われていたり、これから一般に使われそうな説明的な商標は、
わりと登録されづらいので注意が必要です。
仮に商標登録できたとしても、
一般用語として広く使われ始めると、権利侵害を訴えることができなくなる場合もあります。
これを「普通名称化」といい、もはや権利としての実質的な効果は失われてしまいます。
したがって、何か新しい概念やスタイル等を表す新語を商標出願する際は、
すでに世の中で使われ始めてないか、商品やサービスの説明的な商標でないか、
を確認してみてください。
それでも出願したい場合は、
拒絶を覚悟の上で試されることをおすすめいたします。
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