ロゴマークをあえて変形させてファンを作る

ロゴマークをあえて変形させてファンを作る

※2020年7月21日配信メルマガVol.81より抜粋(一部加筆修正あり)

「ヤサカタクシー」のロゴマーク

ロゴマークは、顧客との接点を作る重要な要素の1つです。
同じロゴマークを長年使用して事業を継続することで、
顧客はロゴマークに親しみを感じるようになり、
その積み重ねがブランドを築いていきます。

そんな顧客が慣れ親しんだロゴマークを、あえて変形させることで、
ファンを作る取り組みをしている会社があります。

京都でタクシーや観光バス事業等を運営している、ヤサカグループ(彌榮自動車株式会社)。
https://www.yasakataxi.jp
社歴は100年を超え、
大阪等の近畿地方だけでなく、東京等の関東地方でも走っているので、
見かけたり利用されたりした方もいらっしゃるかもしれません。

「ヤサカタクシー」は、えんじ色のボディに、ルーフとピラーの部分が白色の車体が特徴ですが、
三つ葉のロゴマークをシンボルマークとして表示灯に採用して、
そのマークは商標登録もされています(登録第5401542号、5401545号)。

ヤサカタクシーが変形ロゴを採用した理由

そんなヤサカタクシーですが、
実は、四つ葉のロゴマークの車両が、1300台に4台(1/325)の確率で存在しており、
運良く乗れた乗客は、
幸せを運ぶ「四つ葉のクローバー号」として、
乗車記念カードとシールがもらえるそうです。

四つ葉のロゴを採用したのは、
乗客からの投書がきっかけ。
ヤサカタクシーに乗ろうと、いつもの”三つ葉の表示灯”を探していたら、
前日に雨が降ったせいで、葉っぱがくっついて、”四つ葉”に見えてしまったそうです。
そのタクシーに乗って以来、いいことが続いたということで、
四つ葉のクローバーをシンボルにしたタクシーの要望が届いたところ、
平成14年から、4台の車両に採用されることになりました。

ヤサカタクシーがすごいのは、
そんな4台しかない四つ葉のロゴマークについても、
ちゃんと商標登録している
ところです(登録第5401544号)。

使われる頻度が多くない商標を登録する理由

こう言っては失礼ですが、わりとありふれたマークですし、
わざわざ商標登録する必要あるのかな?
とも思いますよね。

でも、もし仮にこの四つ葉と類似のマークが、他者によって商標登録されてしまったら、
このロゴが使えなくなる
わけです。
その際は、デザインを変えればいい…というわけではないでしょう。
いつも使っている信頼の三つ葉と似たマークだから、
乗客にとって安心感とサプライズ感がある
のです。
子供の頃に公園で遊んでいて、三つ葉のクローバーの中から、四つ葉のクローバーを見つけた時みたいな感じです。
全く別のデザインなら、そもそも別のタクシー会社だと認識されてしまうでしょう。
このデザインでしか成り立たないロゴだからこそ、
他社に権利を取られて使えなくなる事態を防ぐ意味があるんですね。

ロゴによる「信頼」と「特別な体験」の提供がブランド力を高める

長年同じロゴマークを使用して、信頼を積み重ねることは、
企業のブランディングにおいてとても重要です。

しかし、ヤサカタクシーのように、
ロゴにひと工夫を加えて、”特別な機会”だけに提供されるようにすれば、
顧客は”特別な体験”を経て、ますますファンになり、
ブランド力をより一層高めることにつながるのですね。

※ロゴマークは特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の検索結果より引用

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