※2019年12月10日配信メルマガVol.49より抜粋(一部加筆修正あり)
商品説明的な名前は売れなかった
寒い季節に大敵となるのが”手足の冷え”。
特に、日本の女性は約7割が冷え性を自覚しており、そのうちの9割超が「手足の冷え」に悩まされているそうです。
そんな日本人女性の「冷え」の悩みを解消する手段として、
中小のレッグウェアメーカー岡本株式会社が、明治国際医療大学と共同で、
足首にあるツボである「三陰交」を温める機能を持つソックスを開発しました。
そして商品化されたのが「三陰交をあたためるソックス」。
ただの商品説明ではありません。これが商品名だったのです。
当事者たちは、「機能性を伝えたい」という思いで名付けたのですが、
いかんせん、「三陰交」というツボの名前が一般に知られていないし、
印象に残りにくいため、あまり売れませんでした。
ネーミングを変えて売上30倍!
発売から2年経った後、
新たな商品のシリーズを立ち上げることになり、
そのラインナップに「三陰交をあたためるソックス」も加わることになりました。
しかし、ネーミングとパッケージがそのままでは売れないまま…
ということで、思いきってリニューアルされました。
リニューアルされて生まれた名前が
「まるでこたつソックス」。
足先が温まるイメージを、”こたつ”に喩えてネーミングされたもので、
旧名よりも、消費者に価値が伝わりやすい名前ですね。
また、そのシリーズの名前も「靴下サプリ」と名付けられ、
健康効果がイメージできます。
「まるでこたつ」と「靴下サプリ」は、商標登録もされています(登録第5790453号, 5783016号)。
その効果は非常に大きく、次第に口コミされるようになり、
SNSでは、ハッシュタグ(#)をつけて投稿する人も出てきました。
商品の機能は変わらないのに、
リネーミング前の2013年に比べて、リネーミング後の2017年は、
なんと30倍以上も売り上げが上がったそうです。
商品名を変えて売上が上がった事例
商品名を変えて、売り上げが大きく上がった事例は、
世の中に数多くあります。
例えば、
「モイスチャーティッシュ」は「鼻セレブ」になり、売り上げが4倍になりましたし、
缶コーヒーの「WEST」は、「BOSS」に変わって2倍売り上げるようになりました。
缶入りの煎茶が初めて世に出た時、その名はシンプルな「煎茶」でしたが、
「お~いお茶」に変わってから、緑茶飲料市場で20年以上シェア1位を誇っています。
商品の機能を説明しただけの名前がイマイチな理由
商標は、そもそも「自社と他社の商品・サービスの識別標識」ですので、
他社のものと「識別できる(見分けられる)」ことが必要なのです。
したがって、「三陰交をあたためるソックス」のように、
単に商品やサービスの「機能を説明した名前」は、
類似の商品やサービスにも同様に用いられる名前であって、
商標のネーミングとしては妥当ではありません。
それに、自分目線になってしまっているために、顧客には”伝わらない名前”になりがちです。
一方、「まるでこたつソックス」「靴下サプリ」のように、
商品の「機能を暗示させる名前」は、(すでに類似のものがなければ)他社のものと識別しやすく、
商標のネーミングとしてより優れていることになります。
目線も顧客目線で、価値が”伝わる名前”と言えますね。
ネーミングを工夫することは、
そこまでコストがかかるものではない割に、
抜群に効果を発揮することがあるので、
ぜひ戦略的に考えたいところです。
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