※2019年10月1日配信メルマガVol.39より抜粋(一部加筆修正あり)
「うなぎパイ」は登録商標
浜松に出張した際のお土産といえば、春華堂の「うなぎパイ」。
https://www.shunkado.co.jp/sweets/unagipai_s/post_53.php
浜名湖の名産であるうなぎのエキスを練りこんだパイ生地に、5名しか製法を知らない秘伝のタレを塗って、
さっくり焼き上げた、通称「夜のお菓子」は、お茶請けのお供として有名ですよね。
一昨年に調査会社が実施した「お土産のお菓子 全国認知度ランキング」では、
「うなぎパイ」は堂々の第2位(1位は白い恋人)にランクインし、
実に73.7%に知られているそうです。
そんな「うなぎパイ」ですが、
類似の商品は数あれど、「うなぎパイ」と名乗れるのは、
春華堂のものだけということをご存知でしょうか?
実は「うなぎパイ」という文字は、有限会社春華堂により商標登録されているのです。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-1999-091141/38F2CEC7795BAD6A94226EBBF9B8EADA175C4F96DDE7BA7D5AA3B6730B7DA19A/40/ja
「うなぎパイ」普通は商標登録できない!?
普通は、「原材料名+商品名」からなる商標は登録できません。
なぜなら、このような商標を誰もが使用できなければ、うなぎ入りのパイを製造販売したい業者にとっては大変不便ですし、
自由競争を不当に阻害することにもなりかねないからです。
そういうこともあって、春華堂が最初に登録した「うなぎパイ」も、出願から登録まで、特許庁とのバトルを経ること実に10年もの月日を要しました。
春華堂が「うなぎパイ」の登録を勝ち取ったのは、
長年の企業努力により、「うなぎパイ=春華堂」という認知度を広めてきた実績を証明したからです。
確かに膨大な労力と費用がかかりましたが、
一度お土産の定番として確固たる地位を確立すれば、半永久的に売上を上げ続ける商品ですから、
高い投資ではなかったと言えるかもしれません。
「うなぎパイ」商標登録による絶大な効果
これにより、約50社ほどあった”うなぎ入りのパイのメーカー”は、ほとんど姿を消してしまいました。
一社がほぼ独占することが、いいことなのか悪いことなのか?
という議論もあるかもしれませんが、
少なくとも、味も見た目も各社バラバラの商品が、皆一様に同じ商標を付けて販売することは、
消費者の記憶に残りづらく、競争激化で安売りをすることにもなるため、
地域のブランドにもなっていなかったと思われます。
つまり、1社が品質を厳密に管理して、1つのブランドで売り出すからこそ、
消費者の記憶に残り、お土産の定番として買われるのですから、
結果として地域に貢献することにもなります。
地域名と商品名からなる、いわゆる「地域ブランド」も同様で、
いろんな業者がバラバラの品質で、1つの商標を付けてしまうと、
それはブランドにならないのです。
同じ商標は同じ品質のものにつけるべき
以上から、特定のブランド名(商標)は特定の品質にのみ付されるべきであり、
もしそれが難しい状況なら、
「別のブランド名(商標)をつける」か、「品質を統一化する」しかありません。
前者の方が圧倒的に楽に済みますが、
後者を選ぶなら、その手段としては、
・同じ商標を使う各社を束ねて、品質の基準を設けて遵守させる
という方法もありますし、
・「うなぎパイ」のように、なんとか頑張って1社で商標登録して、他者を排除する
という方法もあります。
当然、「うなぎパイ」ルートは巨額の資本が必要な”茨の道”になりますが、
その分、勝ち取った際のリターンはとても大きいと言えるのです。
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