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先週、TVドラマ「それってパクリじゃないですか?」の第2話が公開されました。
皆さんはご覧になりましたでしょうか?
今回は第2話について深堀して解説しますが、
ネタバレを含みますので、
まだご覧になっていない方は、ご注意ください。
(過去放送分はTVerから視聴できます(視聴期限あり))
・TVer「それってパクリじゃないですか?」
https://tver.jp/series/srrtfedcm5
ドラマの中で、主人公の藤崎亜季が勤める会社、
月夜野ドリンクの「緑のお茶屋さん」という、
お茶のヒット商品のブランドが出てくるのですが、
全く無関係の落合製菓という会社が、
この「緑のお茶屋さん」の商標をパロディにして
「緑のおチアイさん」というお菓子を製造販売していたんですね。
商品のカテゴリーは違いますし、
名前もそのまま同じではないのですが、
「緑のお茶屋さん」と「緑のおチアイさん」で、
名称を早口で読むとやや紛らわしいですし、
パッケージデザインがパッと見で見分けがつかないほど酷似していました。
ドラマの中では、パクリじゃなくてパロディだから許されるんじゃないかとか、
いやいやパロディでも許されないだろうとか、
そもそもパクリとパロディの違いってなんなのとか、
いろんな意見が飛び交っていました。
パロディされてしまった月夜野ドリンクの北脇弁理士は、
最初は当然会社の利益を守るために、
「緑のおチアイさん」という商標の使用の中止と
商標権の放棄、
それから相手方の使用によって発生した損害の賠償を求める方針でした。
一方で、主人公の亜季は、
落合製菓も悪気があったわけではなく、
地元に貢献している企業だから
許してもいいんじゃないか
みたいなことを、最初は考えていたんですね。
パクリは悪意があるけど、
パロディは元ネタに対する愛があるといった、
そんなような言葉も出てきました。
皆さんはどう思いますでしょうか?
パロディされた側の立場に立てば「許せない」し、
パロディした側の立場に立てば「それぐらいいいじゃん」「ケチなこと言うなよ」と
思うかもしれませんね。
法的な根拠で言えば、
登録商標に同一・類似していれば、
相手の商標を取り消したり、無効にしたり、
商標の使用をやめさせたり、損害賠償請求したりすることはできます。
類似していない場合でも、
自社の商標が有名で、
見た人が自社商品と間違ってパロディ商品を手にしてしまうような場合は、
相手の商標を取り消したり、
不正競争防止法を根拠に、
商標の使用の差し止めや損害賠償請求することはできます。
そもそも、パクリとかパロディって法律用語ではないので、
パクリはダメとか、パロディならOKとか議論すること自体に意味がないんですね。
フランスとか風刺の伝統がある国だと、
パロディは「表現の自由」の一つとして、
著作権法の中で権利が認められているのですが、
日本ではそういったことはないので、
法律に当てはめて根拠があるかどうかで判断します。
つまり、パクリであろうとパロディであろうと、
悪意があろうとなかろうと、
それは関係なくて、
法律に当てはめて考えて、
要件を満たせば使用をやめさせたり、
権利を消滅させたりすることは可能です。
そして、商標というのは単なる商品名とかロゴとかパッケージのデザインとかではなく、
ドラマの中でも言っていましたが、
開発とか営業とかバックオフィスとか
いろんな人たちが関わって生み出して、
お客さんから時間をかけて支持されてきたという
「信用」が積み重なったものなんですね。
それを、表面だけ真似したり、
パロディとか言って面白おかしくしたりするというのは、
こういった「信用」にただ乗りする行為であると言えます。
そんなただ乗りを放置することは、
築き上げてきた信用を失うことにもなりかねませんので、
考えもなく許してしまうことはやめた方がいいと思います。
ちなみに、実際にこういう事件があったとしたら、
「緑のお茶屋さん」と「緑のおチアイさん」は、
名前の商標権だけで戦うと、類似しないと判断されて、
月夜野ドリンクが負ける可能性もあるかなと、私はみています。
「お茶屋さん」と「おチアイさん」で、
2語も異なっているからですね。
一方で、パッケージデザインが酷似しているので、
争うとしたらこちらの方が勝算が高いです。
理想としてはパッケージにデザインされた「緑のお茶屋さん」の
ロゴについて、お茶だけじゃなくてお菓子の分野も商標登録をしておくと、
とても勝ちやすいです。
ちょっと内容がディープになってくるので、
この辺にしておきますが、
いずれにしても、パクリにしてもパロディにしても、
こういうただ乗り行為を効果的に防ぐには、
どういう商標出願をするかが重要ということは言えますね。