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※こちらの記事は、2021年4月20日に書かれた内容です。
ご了承ください。
目次
Appleの新製品発表
今日は、Appleのイベントがありますね。
現地時間で午前10時なので、
日本時間だと、夜中の2時に開催されます。
こちらのイベントで、また何かしらの新製品が発表されるようです。
僕もAppleの製品が大好きで、
今文章を書いているのは「iMac」ですし、
「iPhone」も何台かお世話になってきましたし、
「iPad」や「iPad Air」、「Magic Keyboard」
「MacBook」「MacBook Air」「MacBook Pro」、
「Apple Watch」に「AirPods Pro」、「Apple Pencil」、
かつては「iPod」なんかにもお世話になってきました。
本当に、Appleまみれですね。
そんな人を中毒にさせるApple製品ですが、
「iPhone」のCM動画を見ると、
日米で“ある違い”があることに気が付きます。
日米で異なる「iPhone」の発音
どういった違いなのか?
実は、米国の方は「”アイ”フォン」と、「i」のアクセントが強調されているのに対し、
日本の方は「アイ”フォーン”」と、「Phone」のアクセントが強調されているんですね。
単に英語を日本語読みするとこうなるのかなとも思いましたが、
僕は“違う理由”があるのだと推測しました。
それは、「アイホン株式会社」の
商標「アイホン」に配慮したから、
という説です。
商標「iPhone」が登録されるまで
有名な話なので、ご存知かもしれませんが、
「iPhone」の発売時、既に「アイホン株式会社」という
インターホンのメーカーが
日本において、カタカナの「アイホン」や、
英文字の「AIPHONE」を商標登録していたのです。
(登録第460472号、第808390号)
「アイホン株式会社」は、
インターホンの分野ではトップシェアを誇る老舗企業で、
まだAppleが創業もしていない、
はるか昔から「アイホン」が商標登録されていて、
なおかつ、使われ続けていたんですね。
Appleも「iPhone」発売発表より前の
2006年9月19日に、「iPhone」を商標出願していたのですが、
やはり日本の「アイホン」が立ちはだかって、
いったん審査で拒絶されてしまいました。
そこでどうしたかというと、
「iPhone」の商標の拒絶になっている部分を、
「アイホン株式会社」名義に変えたんです。
こうすれば、
「アイホン」と「iPhone」は、
同じ権利者に属することになるので、
拒絶の理由がなくなります。
こうして「iPhone」は、晴れて商標登録になりました。
商標「iPhone」を使用するためのライセンス契約
しかし、このままだと、
「iPhone」はアイホン株式会社名義のままなので、
Appleは「iPhone」の商標を使うことができません。
そこで、Appleとアイホン株式会社は、
「iPhone」の商標を使用するためのライセンス契約を
結ぶことにしたんですね。
※参考:
http://www.aiphone.co.jp/ir/docs/pdf/disclosure/2008/20080324_2.pdf
試しにAppleの公式サイトをご覧になってみてください。
「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。」
という一文が書いてあります。
そして、当然ですが、Appleはアイホン社にライセンス料を支払っています。
契約内容は公表されていませんが、
東証1部上場企業であるアイホン社は、
IR資料を公開しています。
そこでアイホン株式会社のIR資料を見てみると、
ちょうど「iPhone」が日本で発売された、
平成19年度から営業外収益の「受取ロイヤリティー」の項目が追加されているんですね。
そして前期の有価証券報告書には、
「受取ロイヤリティー」の項目に
「150(百万円)」とあるので、
なんとなく、この1.5億円は、年間の商標使用のライセンス料なのかな…?と想像することができます。
https://www.aiphone.co.jp/ir/docs/pdf/securities/2020/securities_62.pdf
「iPhone」が日米で異なる理由(推測)
ちょっと前置きが長くなりましたが、
「iPhone」の発音が日米で異なるのは、
こういった事情を考慮したのだと考えられます。
つまり、米国のような「アイフォン」の発音だと、
アイホン社と紛らわしくなってしまうということで、
日本では「アイフォーン」と「Phone」を強調して発音して、
区別するようになったのではないか?ということです。
日本のメディアでの表記も、必ず「アイフォーン」となっています。
※Wikipediaの「iPhone」ページ:https://ja.wikipedia.org/wiki/IPhone
公式で説明されたものではなく、
あくまで推測にすぎませんが、
こういう見方をすると面白いですよね。
実はこの説、10年前に思いついて、
ブログを書いたのが広まって、
多くの人が同じことを言い始めたので、
ちょっとドヤ顔してしまうのですが。
商標は基本、早い者勝ち
念のために申しておきますと、
巨額なライセンス料の支払いで解決できるのは、
巨大企業Appleだからこそなんですよね。
普通の企業だと、
やはりライセンス料の支払いはしないに越したことはありません。
商標は基本早い者勝ちですから、
こうしたリスクを避けるためにも、
なるべく早めの「商標出願」をおすすめいたします。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。