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★「フランクミュラー」と「フランク三浦」
「フランクミュラー(FRANCK MULLER)」は、
みなさんもご存知のスイスの高級腕時計ブランドですよね。
ケース(側)の曲線や、文字盤の文字がとても特徴的で、
斬新なデザインとして知られています。
https://franckmuller-japan.com
一方、そのパロディ腕時計である「フランク三浦」は、
パッと見では「フランクミュラー」と遜色のないほど似ているものもあるんですよね。
http://www.miura-shop.net
ただ、あくまでもパロディですし、
その名前のゆるさも相まって、
笑いのネタでつける腕時計として、
日本の芸能人にも愛用されています。
余談ですが、「フランク三浦」の「浦」の字をよく見てみると、
右上の「、」がありません。
正確には「浦」という字ではないんですよね。
★「フランク三浦」vs「フランクミュラー」勃発
そんな「フランク三浦」ですが、
時計の分野で商標出願をしたら、
審査に通って登録されてしまいました(登録第5517482号)。
それまでは、目を瞑っていた本家「フランクミュラー」も、
「さすがにやりすぎだろ」
ということで、
その商標登録を無効にするための審判の請求をしたんですね。
根拠としては、
「フランク三浦」と「フランクミュラー」は、
「発音が似てるから、お客さんや取引業者は間違えるでしょ」
という理由です。
その審判では、
「確かに、本家「フランクミュラー」と間違える恐れがあるね」
ということで、
いったんは登録無効の判断が下されました。
★「フランク三浦」が「フランクミュラー」に勝利
しかし、この判断を不服に思った「フランク三浦」が、
今度は、無効の判断を取り消すための裁判を起こしたところ、
なんと、訴えが認められて、
無効にする判断が取り消されてしまったのです。
というのも、
本家「フランクミュラー」が100万円以上であるのに対し、
「フランク三浦」は5千円~1万円程度と、
両者は価格帯が全く異なっていますよね。
それから、「フランク三浦」は日本の苗字や地名を表す「三浦」の文字を含むから、
外国の高級ブランド「フランクミュラー」とは、似ても似つかないと。
だから、相手に模倣の意図があったとか関係なく、
「顧客が間違えるわけがないよね」
と判断されて、
「フランク三浦」は有効に存続することになったんですね。
じゃあ最高裁で決着つけようということで、
「フランクミュラー」が上告したのですが、
結局判断は覆らずに、
そのまま「フランク三浦」が勝利しました。
つまり、「フランク三浦」がそのまま有効に存続することになったんですね。
★パロディが全部ダメなわけではない
この結果を聞いて、腑に落ちないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そもそも商標は、自社と他社の商品やサービスを見分けるための目印です。
その点、「フランク三浦」みたいな明らかなパロディだと、
消費者は「フランクミュラー」と別物と理解しているから、
ちゃんと見分けられて、混同することはない、ということなのですね。
したがって、パロディだから全部が全部ダメというわけではなく、
商標とは何か、という視点からこういう結末に至ったということです。
もちろん、パロディならいいというものでもありません。
まあ、人のふんどしで相撲を取っている感じがして、
あまりよく思わない方もいるかもしれませんが、
こういうこともあるんだと、覚えていただければと思います。
※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。