ビジネスモデル

※2023年3月28日配信メルマガVol.221より抜粋（一部加筆修正あり） 急速に出店拡大している「chocoZAP（ちょこざっぷ）」 日経トレンディの「2023年ヒット予測ランキング」で第1位に上げたのが「コンビニジム」でした。 その代表例が、RIZAPグループが展開する、月額2,980円(税込3,278円)で、24時間365日全店舗使い放題のジム「chocoZAP（ちょこざっぷ）」です（2025年現在はカタカナの「チョコザップ」表記になったようです）。https://chocozap.jp/ 2023年3月末の時点で、456店舗を展開予定ということで、2022年の初出店から急速に出店拡大中。街中で見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。 これまでのフィットネスジムとどこが違う？ これまでのフィットネスジムは、運動をすることへの「心理的ハードル」、ジムの場所へ赴くことへの「物理的ハードル」、毎月高い会費を払うことへの「金銭的ハードル」がネックとなっていました。 そのせいで、健康のための運動の重要性は理解しつつも、フィットネス人口の比率は3.45%（2021年、「Fitness Business」調べ）にとどまっていたそうです。 これら3つのハードルを取り除いて、「簡単」「便利」「安い」を実現したのが、「ちょこざっぷ」というわけです。 競合の1/3の価格でやっていける理由とは？ 国内1000店舗以上を構える「エニタイムフィットネス」に比べると、価格は1/3。これでやっていけるの？と思いますよね。 実は「1人辺りの利用時間」が異なるため、この価格設定でも成り立っているようです。 つまり、「運動ガチ勢」を相手にしている「エニタイムフィットネス」は、大体1回につき1~2時間利用する人が多いです。私もエニタイムに行っていた時はそれぐらいいましたし、今のジムでも1時間ぐらいはいるかもしれません。おまけに、着替えたりシャワーを浴びたりするので、余計に利用時間が長くなります。 一方、「運動初心者」を相手にしている「ちょこざっぷ」は、「1日5分のちょいトレ・健康習慣プログラム」を開発しており、長くても20分ぐらいの利用が多いようです。着替えも靴の履き替えも不要で、もちろんシャワーもないので、利用時間を普通のジムの1/3以上に短縮することができます。 着席の店と立ち食いの店の違いみたいな感じで、店舗のスペースが狭くても問題ないし、回転率も高くすることができるので、より多くの会員を受け入れることができるのですね。 継続率が高くなる秘密 しかも、「ちょこざっぷ」は個室のセルフエステ・セルフ脱毛が使い放題という付加価値つき。無料で専用の体組成計とヘルスウォッチも届いて、継続したくなる工夫もされています。 そもそも、一般に月額3,800円を下回るとサブスクをやめにくく、解約率が下がるそうなので、月額2,980円という価格設定は絶妙にやめにくい金額なのかもしれません。 また、体組成計とヘルスウォッチというのも、単にプレゼントで惹きつけるというより、裏の目的は利用者のデータを取るためにあるのでしょう。 したがって、「ちょこざっぷ」をフロントエンドにして、利用者のデータを元に、運動に本気になった人たちを「RIZAP」に誘導したり、別の商品・サービスを案内したりすることができます。そうするとLTVが上がるので、かなり賢いビジネスだなと思いました。 考えられる弊害とは？ ただ難点があるとしたら、「いろんな人が来てしまうこと」による弊害が考えられます。例えば、若い女性がキャッキャ言いながら「ちょこざっぷ」で運動している中に、メタボ腹のおじさんは、なんとなく行きづらさを感じます。逆もまた然りで、おじさんがハアハア言いながら運動している横で、若い女性が運動しにくいですし、おじさんがセルフ脱毛した後に利用したくない、と思う人がいることも考えられます。 あとは、若い人と年配の人も、なかなか共存しづらいことがあるかもしれません。「運動初心者」と一口にいっても、実はいろんな人がいるせいで、居心地の悪さを感じてしまう可能性はあるのかなと思いました。 この点、中高年女性を明確にターゲットにした「カーブス」というジムだと、周りにいるのが、同じ年頃の同じような悩みを抱えた女性ということで、安心して運動に取り組むことができます。 このような弊害を想定しつつも、今までになかった「コンビニジム」という業態を一気に広めた戦略は、なかなかすごいなと感じました。

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