人事（採用・労務・人材教育）

※2022年3月22日配信メルマガVol.168より抜粋（一部加筆修正あり） センターピンを見極めよ ボウリングでストライクを狙う際には、真ん中のピンに球を当てる必要があります。真ん中に当てなければ、どんなに速い球を投げても、ストライクにはならず、逆に真ん中に当てさえすれば、スピードがなくても他の全ての球を同時に倒すことができます。 これを事業に当てはめることが多々あります。事業におけるセンターピンとは、事業の成否を分けるポイントのこと。つまり、センターピンを倒せば、その事業がうまくいき、倒せないと、頑張ってもなかなかうまくいかないため、まずはセンターピンを見極める重要性が説かれるのですね。 家事代行サービスのセンターピンとは？ 前回、クラウド上で家事代行のマッチングを行う「CaSy（カジー）」を取り上げました。家事代行サービスのセンターピンとはなんでしょうか？ CaSyは、家事代行スタッフを雇用せずに、登録スタッフ（キャスト）に業務委託する形で運営し、コストを抑えて安価にサービス提供している特徴があります。 その一方、家事代行は自宅に入って行うサービスなので、トラブル頻出により信用を失うと致命的になってしまいます。したがって、サービス品質を維持させるべく、「質のいい人材を確保」することが、家事代行サービスにおけるセンターピンであると考えられます。 「質のいい人材を確保」するためのCaSyの取り組み そこでCaSyは、人材の確保と人材の質を高める取り組みとして、さまざまな取り組みを行なっています。 データの蓄積 まずは、「データを蓄積させる」ということ。従来のBtoC型だと、家事スタッフやコーディネーター個人に、現場のデータが蓄積されており、運営会社に残らず、他のスタッフに共有されないという問題点がありました。 この点、CaSyでは、家事スタッフ（キャスト）がお客さんの元に訪問する際に、作業データをクラウド上に記録するようにしています。これにより、データが会社に蓄積されていき、一元的に管理することができるので、お客さんとキャストのマッチングの精度も高まり、研修内容にも反映され、新規サービス開発にも役立てることができます。さらには、お客さんにおすすめサービスのレコメンド表示もできるのだとか。 このように、データに基づいてマネジメントすることで、サービス品質を維持・向上させる仕組みができているんですね。 モチベーション向上施策 また、キャストのモチベーション向上につながる施策も行なっています。例えば、お客さんからの評価を元に「10段階のランクづけ」を行なう制度。ランクが上がるごとにエプロンの色が変わり、時給にも反映されるため、キャストが辞めにくいという特徴があります。 それから、高評価数や稼働数により表彰する「月間MVP賞」や、お客さんからの指名により、指名料がもらえる「指名制度」などがあります。 かつては、キャストが実践している家事の裏技の頂点を競う、「家事の裏技選手権」なるイベントも年末に実施していました。 コロナ禍で収入が不安定になったキャスト向けに、「報酬前払いサービス」まで実施しています。キャスト向けのオンラインコミュニティまであるようですね。 スタッフの満足度を高めてサービスの質を高める これだけ見ても、いかにキャストを大切にしているかが伝わってきます。キャストとしては、この会社で長く働きたいと思うでしょうし、お客さんとしても、どうせ家事を頼むなら、やはり家事スタッフの満足度の高い会社に頼んだ方が、いいサービスをしてもらえそう…と思うのではないでしょうか。 家事代行サービスは、2017年の時点では有効求人倍率4倍（サービス業の平均が約2倍）ということでしたが、そんな超売り手市場で、家事代行スタッフをつなぎ止めるためにも、こうしたさまざまな施策が欠かせないのでしょうね。