・「会社にお金が残らない本当の理由」(岡本吏郎 (著))
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「売上があるのに、なぜかお金が残らない」――その仕組みを明快に解き明かす、経営者のための実務書です。
本書の内容
「経営とは利回りを最大にすること」これがビジネスというゲームのルールであると、著者は冒頭に述べています。
そしてゲームに勝つためには、ビジネス環境を支配する仕組み(システム)を知る必要があり、具体的には、以下の要点が展開されています。
- 「収入」「支出」「借入れ」「税制」「決算書」「価格」「リスク」という7つのシステムを理解した上で利回りを上げ、1円でも多くお金を残す。こうして内部留保したお金は、再投資に回す。
- そのうえで押さえるべきは、次の4つの数字:
- 一人当たり付加価値…一人当たりどれだけの粗利益を稼いだか(目標:1500〜2000万円以上)
- 労働分配率…付加価値をどれくらい人件費に分配したか(役員20%、社員30%、合計50%)
- 一人当たり経常利益…稼いだ経常利益を社員数で割ったもの(目標:200万円)
- ROA…総資本経常利益率<経常利益÷総資産>(目標:20%(経営を始めた当初は50%くらい))
CROA…総資本キャッシュフロー率<営業CF÷総資産>(目標:20%)
これらを意識すれば、会社にお金が残る判断が自然とできるようになります。具体的にどう意識すればいいのかについては、本書の中で詳しく解説されています。
また、「いい人ほど儲からない」「お金を守るために三流の価値観で生きる」という厳しくも本質的な指摘も。他人の価値観でやっていては経営は続かない現実を受け止めることが、経営者としての第一歩なのだと感じさせられました。
読んで感じたこと
収入よりも支出を少なくする、という経営において当たり前のことでも、なかなか実践することは大変なのだろうなと、読み進めるほどに目が冴えました。特に、「役員報酬」を「個人の生活費」ではなく、「会社の合法的裏金」と捉える考え方は目から鱗でした。「役員報酬」の支出まで厳格に考えないと、お金は会社に残らないんだなと、改めて身が引き締まる内容です。
また、利益を会社(内部留保)と家(役員報酬)と国(税金)で分配するという考え方も学びになりました。経営も私生活も安全に運営するために、このバランスをきちんと考えて管理するストイックさが大切なんだなと思いました。
こんな人におすすめ
- 売上はあるのに、利益が残らない経営者
- 資金繰りは回るけれど、将来の不安が消えない方
- 数字や仕組みに苦手意識を持ったまま経営を続けている方
- 「経営の基礎」に今こそ向き合いたいと思っている方
「お金を残す」といっても、特に裏技のような会計処理のやり方が書かれているわけではありません。でも、経営の“土台”を支えてくれる内容の書かれたこの本は、まさに沈まない船の設計図。
読むことで、静かに背筋が伸びるような感覚を味わえました。一読の価値は確実にあります。
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