・「営業マンは断ることを覚えなさい」(石原 明 (著))
https://amzn.to/35s7xye
従来の「頭を下げて売る」営業スタイルから脱却し、主導権を握ることで成果を上げる営業手法を提案する一冊です。2003年に出版された本ですが、現在のWEBマーケティング、SNSマーケティング時代の先駆けともいえる方法で、今でも通用する基本的な考え方が示されています。
本書の概要
本書では、営業に対する従来のイメージをガラッと変える「断る」営業スタイルと、それを実行するためのしくみ化の方法を解説しています。
「断る」営業スタイル
まず、営業マンというと、お客さんにペコペコして売るイメージがありますが、お客さんの側から見ると、「できないことはできない」とはっきり言える営業マンや、売れている営業マンから買いたいのだという、認識のズレをわかりやすく指摘しています。
つまり、「断る」営業というのは、「売れているように見える」営業というのが本質になります。
そして、「断る」営業スタイルに変えるために
- 否定語を使う:「ダメ」「無理」「やめなさい」といった言葉を使うことで、お客さんに無理に合わせない
- 思ったことを口にする:無理にお客さんに合わせるのではなく、本当に思ったことを言う
- わざと断る:決めかねていたり、色々注文をつけてくるお客さんに、「無理に買わなくていいです」と言う
の3つのステップが紹介されています。
これらのステップを踏むことで、お客さんと対等の立場で、「売らない権利」のある主導権を持った営業活動を行うことができるようになります。
「チャレンジャーセールスモデル」という営業スタイルがありますが、それにやや似ている気がします。
「断る」営業のしくみ化
後半は、営業マンが「断る」営業活動ができるように、会社として「売れるしくみ」を作る方法が紹介されています。
まず、売れない営業マンが口にしがちな、「商品が良くないから売れない」「値段が高いから売れない」「小さい会社だから売れない」という言い訳を真正面から否定しており、それぞれの言い訳に対する切り返し方も紹介されています。
そして、営業マンが売りやすくなるための具体的なしくみとして、以下の4つのステップ(通称:4ステップマーケティング)で営業活動を構築することが推奨されています:
- 集客:見込客を効果的に集めてリスト化する
- 見込客フォロー:関心を持った見込客に対して、適切なタイミングでアプローチを行い、買いたいお客様に育てる
- 販売:買いたいお客様に多く会い、ニーズに合わせた提案を行って販売する
- 顧客化:一度買ってくれたお客様のフォローを通じて、リピーターや紹介を生む関係を築く
これらのステップを通じて、営業マンが自信を持って提案し、顧客との信頼関係を築くことが可能になります。
そして、「集客」こそが会社の生命線で、全体の60%以上のウエイトを占めているから、営業マン個人の能力に任せるべきではないとも述べています。
また、会社の利益が一番上がるのが「顧客化」で、顧客化率により利益が大きく上下するが、すぐにリピートや紹介が生まれるわけではないので、これも営業マン個人の能力に任せるべきではないとのことです。
「見込客フォロー」についても、コストをかけて集客したお客様を、何もしないで消滅させると大きな損失なので、これまた営業マン個人の能力に任せず、会社としてしくみ化すべきだということです。
これらの具体的な方法は本著にも記載されていますが、ウェブマーケティングが出てくる前の時代の話で、事例が古いので、それよりは今の時代に合わせた方法を自分で考えるとよいと思います。
ただ、基本的な考え方はとても参考になる部分がたくさんあります。
まとめ
本書は、営業活動において「断る」ことの重要性を再認識させてくれる一冊です。
特に、顧客との関係性を築く上で、すべての要求に応えるのではなく、自社の価値を理解してくれる顧客に焦点を当てることの大切さを教えてくれます。
また、営業活動をしくみ化することで、個人のスキルに依存せず、組織全体で成果を上げる体制を築くことができる点も魅力的です。
営業やマーケティングに悩んでいる方や、営業・マーケティングを強化したい経営者にとって、実践的なアドバイスが詰まった一冊です。
購入はこちらから↓
https://amzn.to/35s7xye
※サムネ画像は「Amazon.co.jp」の商品ページから引用