freeeが小さな書店を経営した理由──ユーザー理解を深める実験とは

freeeが小さな書店を経営した理由──ユーザー理解を深める実験とは

※2024年10月22日配信メルマガVol.303より抜粋(一部加筆修正あり)

会計ソフト「freee」が本屋を経営?!

クラウド会計ソフトの「freee」が、
2023年4月に「透明書店」という書店をオープンしました。

会社設立から店舗の物件探し、内装、開店、
毎月の損益の数字、日々の業務の日報と、
事業立ち上げからの軌跡を全部noteに開示して
文字通り「透明」な経営を続けてきたのですが、
1年経ってついに黒字化したそうです。
https://note.freee.co.jp/n/n9f17aa1389e7

その要因が3つ挙げられているのですが、
「イベント」を開催して短期間にたくさん売り上げたのが大きかったようですね。
書籍以外のグッズ販売による売上貢献が大きく
書店がどんどん減っている中での小さな書店の今後の生き残り方について、
とてもいい勉強になりました。

freeeが小さな書店の経営を始めた理由

ところで、従業員1,000人を超えるIT企業が、
なぜ今さら小さな本屋さんをオープンしたのでしょうか。

freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というビジョンを掲げているのですが、
上場して、企業規模も大きくなるうちに、
お客さんの痛みや課題を自ら体験する機会がなくなってしまったのですね。

そこで、ユーザーヒアリングだけでは読み取れない、
「お客さんの気持ち」を知る
ために、
店舗の運営を1から始めたのだそうです。

実際に自社であるfreeeの商品を、1ユーザーとして有料で使うことで、
より良いものにする気づきを得る
狙いがあるんですね。

民族調査のために、その民族の生活に入り込んで観察して記録していく方法で
マーケティングでも活用されている
「エスノグラフィー」というアプローチがありますが、
顧客と同じ立場に立つという面では、
それをさらに超えた取り組みとも言えます。

顧客と同じ立場に立つ重要性

もちろん、freeeの100%出資子会社での運営なので、
0から立ち上げるスモールビジネスとは完全には同じではありません。

しかし、なるべくお金をかけすぎないように工夫したり、
頭を抱えながら奮闘している様子は、
スモールビジネス経営者のリアルな気持ちを知るのに
十分すぎる体験だと思いました。

お客さんの気持ちを理解することの重要性はよく言われますが、
「透明書店」については「ここまでやるか!」と思うのと同時に、
「ここまでやらないと、本当の気持ちはわからない」ということを
身をもって示してくれていますね。

いかに深いレベルまで顧客の心理を理解できるか、
そのためにどこまでやるのか、
という1つの事例として参考になりました。

「透明書店」は商標登録済み

ちなみに、「透明書店」は
親会社のフリー株式会社名義で商標登録済み
最初から権利範囲がだいぶ広いので、
スモールビジネスのやり方とはちょっとかけ離れていますが笑
自分たちの屋号を守ることは大事ですからね。

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