※2024年10月8日配信メルマガVol.301より抜粋(一部加筆修正あり)
国家資格の”業務独占資格”とは?
法律系の国家資格の多くは”業務独占資格“と呼ばれていて、
その資格を持っていなければできない業務があります。
例えば、弁理士(弁理士法人)でない者が、
他人からの要求に応じて、報酬を得て商標出願手続を代理で行うと、
“非弁行為“といって、弁理士法75条違反となり、
一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されることがあります。
実際に逮捕された人もいます。
一方で、この規定は「報酬を得て」が要件となっているので、
裏を返せば「無報酬で」手続を代理する行為には適用されません。
したがって、無報酬なら無資格者でもできてしまうのですね。
そのようなことをしている無資格の”知財コンサル”と呼ばれる人もいますし、
今後は生成AIを使って手続のサポートを行う、
といったこともできてしまうかもしれません。
無報酬で行った見返りに、本来売りたいサービスを売ることができますからね。
「禁止」の隣にビジネスチャンスあり
それが問題だと言いたいのではなく、
「禁止されていること」の隣には
ビジネスチャンスが眠っていることがあるということです。
例えば、相続の実務において、
遺産相続や遺産分割等に関する交渉や調停、裁判の代理などは弁護士資格が必要ですし、
相続登記の代理は司法書士資格が必要ですし、
相続税の申告手続の代理には税理士資格が必要です。
遺産分割協議書の作成などは行政書士ですね。
資格で守られています。
しかし、こういった資格が必要ない部分に関しては、
誰でもアドバイザーのような形で関われるわけです。
業務独占資格が付近にあることで、心理的な参入障壁はあるかもしれませんが、
ちゃんと法律を守ってさえいればOKですしね。
それに、業務独占の上に胡座をかいて質の低いサービスが蔓延するぐらいなら、
周辺に良質なサービスができて健全な競争原理が働くことは、業界全体にとってもいいことです。
士業は昔からある商売なので、市場もそれなりに大きいですしね。
そのため、「相続〇〇士」のような相続に関連する民間資格もたくさん存在して、
「相続〇〇士」の名称も40件近く商標登録されています。
禁止領域の隣に資格を作れ
この点からもヒントになるのですが、
「禁止されていること」の隣にビジネスを作るときは、
その仕事の知識やスキルについて「資格を作る」とさらに稼ぎやすくなります。
資格はいい意味でも悪い意味でも、できることに制限をつけることができるので、
禁止領域に足を踏み入れないよう注意することができるからです。
特に景気の悪い時ほど、資格ビジネスは儲かりやすいです。
これは、資格に紐づいている「安心・安定」のイメージが、
経済的に不安を感じている人々に好まれるからです。
また、資格を取ることで「自分は認められたんだ」という
自己重要感が満たされるという効果もあります。
日本に資格ビジネスが多いのも、
経済的不安を感じやすい人や、
自己重要感の高くない人が多いからかもしれません。
くれぐれも最新の法律内容にご注意を
ただし、釈迦に説法ですが、くれぐれも法律に引っかからないようにご注意ください。
例えば、司法書士でない人が登記の書類を作成したり相談に応じたりすることは、
たとえ無報酬であっても、”非司行為“で違法のためNGです。
前述の無報酬ならOKの弁理士のケースとは違っているので、
関係する法律の最新の規定(法改正することがあるので)をよくお確かめくださいね。