来館者4倍!“深海140種”で蘇った地方水族館――竹島水族館の逆転マーケ戦略」

来館者4倍!“深海140種”で蘇った地方水族館――竹島水族館の逆転マーケ戦略」

※2024年5月21日配信メルマガVol.281より抜粋(一部加筆修正あり)

地方の小さな赤字水族館が変わったきっかけ

愛知県蒲郡市にある「竹島水族館」。

10~15分ほどで回れてしまう小さな水族館で、
イルカやペンギンなどの人気者はおらず
2010年には年間12万人ほどしか訪れない、
とても地味な地方の赤字水族館でした。
https://www.takesuideepsea.com/

閉館寸前の大ピンチでしたが、
現館長の小林龍二さんが、
後の副館長である戸舘真人さんを誘って入社に至ったところから、
竹島水族館は大きく変わったのです。

“珍しい生き物を触れる”水槽を導入して大盛況

まず初めに、「さわりんぷーる」と呼ばれる、
実際に生き物を触ることができる水槽を導入することに。

ただ、こうしたタッチングプール自体は他の水族館にも存在し、
赤字の竹島水族館としては、なるべく予算をかけずに、
独自の特色を出そう
と考えました。

そこで、元々地元が深海魚の水揚げで有名だったところから、
世界最大の節足動物タカアシガニや
体全体が棘で覆われているイガグリガニ、
深海ザメといった、
珍しい生き物を触れるようにしたのです。

結果、これがお客さんにウケて大盛況となり、
2011年の来場者数は20万人を超えました。

おもしろポップで来場者増!

また、展示のところに貼られるポップ(解説文)も、
ほとんどのお客さんが読んでいなかったことから、
お客さんに喜んで読んでもらえるような内容に工夫しました。

例えば、お客さんの会話に耳を澄ませてみると、
意外と「美味しそう」という言葉が交わされていることがわかったので、
展示されている魚が「食べたら美味しいかどうか」「どんな味がするか
飼育員が食べてみました!」といった、
ある意味タブーと言えることをポップに書き出したのです。
これがTVやSNSで話題となり、
ポップ目当てで来場するお客さんが増えたのですね。

深海生物の展示数日本一に!

さらに、小林さんは、一般人のフリをして全国の水族館に電話をし、
「深海の生き物は何種類ぐらい展示してますか?」
と聞いて回ったそうです。

その結果、当時は80種類が最多だったので、
それ以上を目指すことになり、
地元の漁師に協力を仰ぎました。
そして、竹島水族館で扱う深海魚の種類は
約140種類にまで増え、
深海生物の展示数日本一」を名乗るほどになったのです。

こうして、竹島水族館は、
コロナ前の2019年には来場者数45万人を超え、
9年で4倍近くまで増える人気水族館となりました。

こうしてみると、竹島水族館の成功の裏には、
お客様目線で喜ばれることを追求すること」と
自分たちの強みを徹底的に磨くこと」
があったと思います。

売り手本位になっていないか、
自分たちの強みで戦っているのか、
時々考え直すことが大事ですね。

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