※2023年11月7日配信メルマガVol.253より抜粋(一部加筆修正あり)
世界初の“あたらない牡蠣”が誕生
一般的に、広告において、
「日本初」「世界初」といった言葉を使うことができれば、
見る人の興味や関心を惹くことができます。
例えば、最近のニュースで言うと、
ゼネラル・オイスター社が、
「世界初」となる牡蠣の「完全陸上養殖」に成功し、
“あたらない牡蠣”が誕生しました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000311660.html
私は正直に言うと、あたるリスクのある生牡蠣があまり好きではないのですが、
その栄養価には注目しています。
ビタミンB1・B2・B12などのビタミン類、
タウリンなどのアミノ酸、
そしてなんといっても男性に必要な亜鉛が豊富に含まれているからです。
このように、栄養に魅力はあるけど、
あたるリスクを負ってまで食べない人でも、
“あたらない牡蠣”なら食べる気になると思います。
従来の牡蠣の課題と解決手段
ここで、牡蠣が「あたる」可能性があるのはなぜかというと、
牡蠣などの二枚貝は、餌となる植物プランクトンを食べる際に
大量の海水を吸い込むんですね。
その際に、流れ込んできた生活排水や産業排水も一緒に取り込んでしまって、
ノロウィルスを内臓に溜め込んでしまい、
それを食べた人が「あたって」しまうというわけです。
ゼネラル・オイスター社はこの課題を解決すべく、
ノロウイルスをはじめとする、ウイルスや菌がいない
「海洋深層水」を利用することにしました。
ただ、海洋深層水には、
牡蠣の餌となる植物プランクトンが存在しないため、
わざわざ用意する餌代が莫大にかかってしまいます。
そこで、同社は、植物プランクトンの大量培養を成功させ、
牡蠣の「完全陸上養殖」を実現し、
「あたらない牡蠣」が誕生しました。
この「完全陸上養殖」が「世界初」とのことで、
注目を集めているのですね。
「日本初」「世界初」「No.1」等の表現に注意
ただ、「日本初」「世界初」「No.1」といった
最上級表現を使うにあたっては、
やや注意が必要です。
客観的な根拠や裏付けといったエビデンスがないと、
景品表示法上の「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に
該当してしまう恐れがあるからです。
この牡蠣の「完全陸上養殖」についても、
本当に「世界初」なのかはわかりません(反論する声もないので、おそらく本当に世界初なのだとは思いますが)。
この「あたらない牡蠣」は
「エイスシーオイスター2.0」と言うのですが、
2018年に特許を取得しています(特許第6267810号)。
たしかに、特許を取得したということは、
先行する技術が世界に存在しないことの一応の証明にはなりますが、
それはあくまで「特許を取得した(書類に記載された)技術」が世界初なのであって、
効果自体が「世界初」とは限らないのです。
したがって、特許を取得した場合でも、
広告やPR等で「世界初」の最上級表現を使う際には、
その表現方法には注意が必要ですね。
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