※2023年9月19日配信メルマガVol.246より抜粋(一部加筆修正あり)
ボーイング787の機体の約50%を構成する「炭素繊維」
先日テレビ番組で、東レの高収益事業である「炭素繊維」が取り上げられていました。
東レは炭素繊維の世界シェアトップの企業で、
IR情報によれば、2023年3月期決算の「炭素繊維」の売上だけでも2817億円に達します。
炭素繊維の特徴は、軽くて丈夫なところ。
鉄の1/4の重さでありながら、鉄の10倍の丈夫さを備えています。
その特徴を活かして、
釣竿やゴルフクラブ、自転車などに加え、
現在は自動車や航空機、ロケットにも利用されています。
ボーイング787の機体の約50%が、
東レの炭素繊維でできているというのは、驚きですよね。
「炭素繊維」が航空機に利用されるまでにやったこと
実はこの炭素繊維、
開発当初から”夢の素材”として
自動車や航空機への利用が期待されていましたが、
流石に採用実績もないため、信頼性やコストの面で顧客の目が厳しく、
採用されるには困難が伴いました。
そこで東レは、最初は釣竿やゴルフクラブなどのスポーツ用品で
少しずつ実績を積み重ねていったそうです。
自動車や航空機での耐久性不足は死活問題ですが、
釣竿やゴルフクラブが折れたとしても、
「それだけの大物が釣れたんだな」「私のスイングが強すぎたかな」
ぐらいで済みます。
失敗を恐れずにできる実績を重ねていき、
性能の向上やコスト低減のノウハウを蓄積していったのですね。
航空機への採用も、まずは強度の要求が厳しくない、
方向舵などの二次構造材から始まり、
そこで実績を作ってから、
より強度が求められる主翼や胴体などの一次構造材に進めていきました。
本命のターゲットを狙うための「2段階ターゲティング」
このように、いきなり本命のターゲットを狙うには信頼も実績も足りない場合は、
本命のターゲットの前の”ステップとしてのターゲット“を定める
「2段階ターゲティング」が重要になります。
「2段階ターゲティング」は、以前にAmazonの話を紹介しましたが、
Amazonも、最初はエンジニアや研究者、医師たちなどの
高度な専門知識を持つ人たちをターゲットにして、
専門書を販売していました。
そして、Amazonの利便性が評判になったタイミングで、
今度は一般の方をターゲットに、普通の書籍や家電など、
さまざまな商品を扱うようになったのですね。
このように、まだ世の中に普及していない新しい商品・サービスは、
購入してもらえる実績や信頼に乏しいため、
世に広めるためには段階的なターゲティングを行う必要があるのです。
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