自社と自社を取り巻くみんなのWINを考える

自社と自社を取り巻くみんなのWINを考える

※2023年3月7日配信メルマガVol.218より抜粋(一部加筆修正あり)

生理用ナプキンを無料提供するビジネス

個室用トイレで生理用ナプキンを無料提供する
OiTr(オイテル)」というフェムテックサービスがあります。
https://www.oitr.jp/

どういうサービスかというと、
まず個室トイレ内に設置された
デジタルサイネージ(電子的表示機器)付きのディスペンサーから、
QRコードを読み取り、「OiTr」のアプリをダウンロードします。

アプリを起動すると、画面に「取り出しボタン」が出てくるので、
それをタップしてスマホを近づけます。

すると、ディスペンサーから生理用ナプキンが1枚無料で出てくるのです。

オイテル株式会社が運営しており、
生理のある人の負担を軽減し、QOLを向上させるため、
トイレットペーパーのように生理用品が常備される世の中になってほしい、
との願いから起業されたとのこと。

無料提供で成り立つわけ

どのように無料で成り立っているのかというと、
ディスペンサーのデジタルサイネージ部分から、
最大2分の動画広告(15秒枠で最大8枠)が流れるようになっていて、
その広告料を収入としています。

また、ディスペンサーのレンタル代もあります。
一部では認知をとるために無料にしているようですが、
特に「POLA」や「東京建物」といった企業が
従業員の福利厚生や機会損失の軽減を目的として設置するケースもあって、
その場合は他社の広告を流せないこともあるので、
レンタル代を徴収しているのだとか。

設置場所は多岐に渡り、
商業施設、自治体庁舎、交通機関、学校など
2023年3月3日現在、179箇所の施設に2500台設置されているそうです。
アプリも50万ダウンロードを超えて、利用者が増え続けています。

実は広告効果が高いビジネスモデル

この広告モデルがとても秀逸で、
まずトイレの個室ということで、広告が見られやすい特徴があります。
動画広告が流れるデジタルサイネージは、さまざまな場所にありますが、
トイレほど閉じられた空間はありませんから、
広告を見続けてもらえない可能性があります。
これがトイレの入口だったら、広告も見てもらいにくいし、
そもそも利用しづらいことでしょう。
個室にデジタルサイネージを置くのは、
タクシーの後部座席の広告効果が高いことからヒントを得たようです。

また、明確に女性をターゲットにした広告を流すことができるのも特徴です。
広告はいかに見てくれる人を絞り込むかで効果が劇的に変わりますが、
この点「OiTr」なら、ターゲットはまず女性に絞れますし、
大学に設置される場合は学生をターゲットにして、振袖や卒業袴レンタルの広告を出すなど、
設置される施設や時間帯、気候などに合わせて広告を変えることができるんですね。

広告主のイメージ向上にもつながる

さらに、このような社会課題の解決を目指すサービスに広告出稿することは、
広告主として「社会貢献している好印象な企業」のイメージがつきやすいこともあるでしょう。
利用者側からも「広告があるから無料でもらえるんだな」と、
広告が受け入れられやすい前提もありますね。

まだ課題もあるかとは思いますが、
こうした点も含めて、優れたビジネスモデルだなと思いました。

ちなみに、使いすぎを防ぐために使用制限も設けられていて、
使用後から2時間経過して初めて、再度1枚使用できるようになり、
ユーザー登録日より25日ごとに最大7枚まで使用できるようです。

企業、ユーザー、広告主(設置施設)といった
自社と自社を取り巻くみんなのWINを考えたいですね。

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