※2023年2月28日配信メルマガVol.217より抜粋(一部加筆修正あり)
SNS集客でNo.1になった「森美術館」
美術館の集客は、以前は交通広告が主流でしたが、
現在はインターネット、
特にSNSを通じて来館する人が多いみたいですね。
そんなSNSを日本一うまく活用して、
観客動員につなげていると言われているのが
東京の六本木にある私立の美術館、「森美術館」です。
2018年の美術展覧会の入場者数で、
最も人を集めたのが
森美術館の「レアンドロエルリッヒ展」で、
135日間で61万人もの動員を記録したそうです。
2位も同じく森美術館の「建築の日本展」、
3位が国立新美術館の「ルーブル美術館展」、
4位が東京都美術館の「ゴッホ展」ですから、
国公立の大規模展覧会よりも多く集客してしまったのはすごいですよね。
しかも一般ウケするとは言い難い、
現代アートと建築の展覧会がテーマですから、
優れた戦略に裏打ちされた結果であることが伺えます。
「来てくれる層」に向けて、丁寧にコンテンツを情報発信
森美術館のマーケティング担当の洞田貫氏によると、
森美術館は10~30代の若い観客が全体の70%を占めているそうで、
この「来てくれる層」にターゲットを定めてプロモーションしているようです。
その手段としてSNSの活用がピッタリ合っているんですね。
だからと言って、若い人に向けて「インスタ映え」を狙うわけでもありません。
キュレーターが必死に研究を重ねて生み出した展示内容を、
どうすれば見てもらえるか?なぜこれを世に出したいのか?
という視点から情報発信しているんですね。
マーケティングありきではなく、コンテンツありきで考えることが、
結果的にマーケティングの効果を発揮するのです。
撮影OKにする意図は「情報拡散」のため
そして展示作品には、もちろん「著作権」が関わってくるわけですが、
森美術館では「撮影OK」にしているのが特徴です。
俗にいう「クリエイティブ・コモンズ」と呼ばれる意思表示ですね。
大抵の美術館では「撮影禁止」の立て札が立てられているのが通常ですが、
写真や動画撮影をしてもらって、どんどんSNSに投稿してもらうことで、
情報を拡散させているのです。
「鑑賞」することが目的の1つである美術館でそんなことされたら、
来館者が減るんじゃないの?と思われるかもしれません。
しかし実際には逆で、写真や動画の投稿を見ると、
美術館に行ったことがない人まで
「実際に見てみたい!」「体験してみたい!」
と思うのが人間心理なんですね。
そうして足を運んだ人がまたSNSにシェアして、
次のお客を呼び込むと。
これだけネットでいろんな画像がみられる時代だからこそ、
「実際に行って体験すること」が高い価値を持つようです。
工夫された「ハッシュタグ」の使い方
最後に、森美術館のSNSでは「ハッシュタグ」の使い方も工夫されています。
当初は「#レアンドロエルリッヒ展」では長いだろうと考えて、
「#レアンドロ展」と略称を公式ハッシュタグとして使っていました。
しかし、ユーザーはみんな正式名称の「#レアンドロエルリッヒ展」で投稿している…
ということで、公式の方が正式名称の方に修正するに至ったのです。
ユーザーには、正確に情報を発信したいという思いがあったんですね。
また、「#レアンドロエルリッヒ展は4月1日まで」と
会期終了日を伝えるタグをつけて投稿した人にプレゼント企画も行いました。
これが功を奏し、会期末に近づくほど来館者が増えたのです。
以上のように、ターゲットは明確にしつつも、
そこに迎合することなく、
伝えるべき価値を魅力的に伝え、
常にユーザーの反応を見ながら
コミュニケーションの方法を軌道修正していくことが、
SNSマーケティングにおいて大切な姿勢ですね。
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