※2021年5月25日配信メルマガVol.125より抜粋(一部加筆修正あり)
「潜在ニーズ」を発掘する3つの方法
前回、新商品・サービスの開発においては「未充足の強いニーズ」が重要であることと、
「未充足の強いニーズ」は企業からは見えない「潜在ニーズ」であることについて、
解説しました。
では、企業からは見えない「潜在ニーズ」について、
どのように発掘すれば良いのでしょうか?
代表的なものとして、3つ挙げて紹介いたします。
①グループインタビュー
1つは、「グループインタビュー」です。
一定の共通の属性を持つ人を数名集めて、
あるテーマについて話し合ってもらう、座談会形式の調査方法です。
「質問をする」のではなく、「話し合ってもらう」のがポイントです。
制限なく自由に発言してもらうことが期待できるため、
ふとした会話から、商品・サービス改善のヒントが得られる可能性があります。
特に、ある参加者の発言を起点に、どんどん議論が展開することから、
企業側が想定もしていなかった意見が出てくるんですね。
例えば、無印良品の「IDEA PARK」では、
顧客から寄せられた意見を募って、商品の改善に生かしていますが、
その過程で「グループインタビュー」を行って、
「リュックについてどう思っているか?」など、
さまざまなテーマで意見交換をしています。
②エスノグラフィー
2つ目は、「エスノグラフィー」です。
エスノグラフィーは、元々文化人類学や社会学で使用される調査手法。
人々の生活に入り込み、生活圏内の行動を観察することで、
理解を深める方法です。
ニーズの調査においては「行動観察調査」とも言い、
顧客の元に入り込んで、行動を観察することで、
商品・サービスの利用の仕方を確かめることができます。
対象者が言語化できない、
無意識の行動を知ることができる特徴があります。
例えば、消臭剤の「ファブリーズ」は、
P&Gのマーケティングチームが、生活者の自宅に何度も訪れ、
生活現場を見ながらインタビューすることで、
ヒット商品への導きました。
これがエスノグラフィーの一例ですね。
③CAS分析
3つ目は、「CAS分析」です。
廃油処理剤の「固めるテンプル」の開発者が発明した方法で、
消費者の行動を手がかりに潜在ニーズを発掘する方法です。
まずは「解決されたら嬉しい問題」を伴う行動を、
インタビューなどで聴き取ります。
これは、「本当はやりたくないけど、やっていること」です。
例えば、天ぷら油を捨てる際に、古い新聞紙に吸わせて、
空の牛乳パックに詰めて捨てる、といった行動が該当します。
このような行動を取る消費者属性は、
「環境に負荷をかけたくない人」といったところでしょうか。
そして、「その行動に伴う問題」を探ります。
例えば、手が汚れる、面倒臭い、といったものです。
次に、その行動の目的を推論し、
Doニーズ(「〇〇したい」という行為のニーズ)を突き止めます。
例えば、環境にやさしい形で天ぷら油を捨てたい、といったものです。
そして、問題を反転させて、Doニーズに条件として付加します。
例えば、「手を汚すことなく、手軽に、環境にやさしい形で天ぷら油を捨てたい」
のような形です。
これこそが、「潜在ニーズ」であり、
「未充足の強いニーズ」ということになります。
この潜在ニーズは、消費者に聞いてもわからない点がポイントです。
つまり、潜在する「未充足の強いニーズ」を創り出すアプローチと言えるかもしれません。
※参考:「ビジュアル図解ヒット商品を生む!消費者心理のしくみ」(梅澤 伸嘉 (著))
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