食事代無料!?長期目線で元を取る

食事代無料!?長期目線で元を取る

※2020年11月17日配信メルマガVol.98より抜粋(一部加筆修正あり)

「30分間皿洗いで食事代無料」は採算取れる?!

2年前まで、お金のない学生たちのために
30分間皿洗いすれば、食事代が無料
となる取り組みをしていたことで話題となった
「餃子の王将 出町店」。
店主の井上さんが70歳定年のため、10月31日に惜しまれつつも閉店したそうです。
https://youtu.be/3EsDmoQo1G8

食事代無料って、商売の常識を覆すことですよね。
果たして、どこかで採算は取れるのでしょうか?

王将フードサービスのIR資料を見ると、
原価率は30%くらい、販管費率は60%くらいなので、
例えば、600円のメニューを頼んだ場合、
原価180円、販管費360円ということになります。
一方、アルバイトの時給を1,000円と換算すれば、
30分間皿洗いをしてもらうことで、500円分の人件費(販管費)が浮きます
したがって、原価と販管費を足すと、
人件費が浮いたとしても、トントンか足が出て赤字になってしまいます。
頼んだメニューがもっと高ければ、赤字幅も拡大します。

広告費をかけないマーケティング

ところが、食事無料&皿洗いを体験した学生の一部は、
このお店に恩義を感じて、再来店します。
今度はちゃんとお金を払って。
そうすると、同じ600円のメニューを頼んだとしたら、
600円-180円-360円で60円の利益が残ります。
この再来店した人に関しては、広告費がかかっていないと考えれば、
もう少し利益が残ったと考えてもいいかもしれません。
こうして再来店してお金を払う数が、食事無料にしてもらった数を上回れば、
実は利益が出る
ようになるわけですね。
中には、「以前お世話になったから、今度は後輩たちのために」ということで、
1万円札を置いていった人もいたとか。

しかも、マスコミ等が取り上げることで、無料のPR効果もあったかと思います。
無料で食べたい学生だけでなく、物珍しさで訪れるお客もいたことでしょう。

なかなか高度な「恩返しマーケティング」

そう考えると、「食事代無料」というインパクトのある施策は、
割と高度なマーケティングと見ることもできるかもしれません。

日本ならではの「恩返しの文化」がなければ成り立ちませんし、
ある程度経営に余裕がないとできないですよね。

皿洗いの時間が30分というのも絶妙で、
これが1時間だと長すぎ、お客さん側が「損した気分」になるから、
来客数が減る
と思います。

FC店の自由裁量を広く認める「王将」

面白いのは、上場企業である「王将フードサービス」がこの取り組みを是認していたことです。
もともと「王将フードサービス」は、店長の自由裁量が広く認められるとして有名でしたが、
この「餃子の王将 出町店」はフランチャイズ加盟店(FC店)ということで、
さらに自由度の高い商売ができたのだと思います。

FC店への加盟条件は、
オーナーとしての能力が認められること

自己資金500万円を準備すること
の2点だけだそうです。
加盟金もロイヤルティも不要で、加盟のハードルは低いですね。

とはいえ、オーナーになるにはそれなりに研鑽を積む必要があることから、
社員独立制度が確立されていて、
FC店の70%は社員から独立した人が経営しているのだそうです。
「餃子の王将 出町店」の元店主の井上さんも、その1人です。

そんな王将の経営理念は
お客様から「褒められる店」を創ろう!」。
理念を深く理解し、
社員として客商売の基本をしっかり身につけた人たちが店舗運営しているから、
お客さんから褒められ、長く愛されるお店になるのでしょうね。

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