弁理士事務所の法人化について

弁理士事務所の法人化について

※2021年8月3日配信メルマガVol.135より抜粋(一部加筆修正あり)

弁理士1人でも「弁理士法人」が設立可能に

今日は5年に1度受講しなければ弁理士登録を維持できなくなる、
「弁理士倫理研修」ということで、
5時間半の長丁場ですが、気を引き締めて受講して参ります。

さて、令和3年度弁理士法改正が5月21日に公布され、
弁理士制度が変わることになりました。

これまで弁理士事務所で法人化する場合、
特許業務法人」という名称で、
2人以上の社員(弁理士)がいなければならなかったのですが、
改正法施行後は、
弁理士法人」の名称に変更となり、
社員(弁理士)1人でも法人化できることになります。

「特許業務法人」から「弁理士法人」へ名称変更した理由

まず「弁理士法人」への名称変更ですが、
弁理士会のアンケートによると、
特許業務法人」という名称だと、
特許に関連する業務を専門的に行っているイメージを持つ人が
36%もいる
そうです。
(日本弁理士会資料「弁理士制度の見直しについて」より)

実際は、特許だけでなく、
意匠
商標不正競争防止法著作権などの
さまざまな法律に基づく業務
を行っているのですが、
「特許以外できない」
と誤った認識
を持たれてしまうことがあったようです。

他の士業では、
「士業名+法人名」で表すことがほとんどで、
「監査法人」という名称の「公認会計士」を除くと、
弁護士法人」「税理士法人」「司法書士法人
社会保険労務士法人」「行政書士法人
といった名称になっています。

「弁理士」だけ「特許業務法人」という名称なのは、
違和感がありますよね。

先程のアンケートによると、
弁理士側も、ユーザー側も、
「弁理士法人」への変更に賛成する声は7割弱に上っています。

こういった背景を鑑みて、
「弁理士法人」へと名称変更することに決定しました。

「弁理士法人」に名称変更しない場合のペナルティ

今「特許業務法人」を使っている事務所は、
改正法の施行日から1年以内に、
「弁理士法人」に変更しないと、
なんと法人は解散されてしまうようです。

また、名称の変更前に「弁理士法人」を使用したり、
名称変更後に「特許業務法人」を使用したりすると、
違反となり、20万円以下の過料が科されるそうです。

「特許業務法人」にとっては、
名称変更の負担がある上に、ペナルティが厳しいですね。

社員(弁理士)1人でも法人化できるように

次に、社員(弁理士)1人でも法人化できることについては、
ユーザーの約1/4が、弁理士事務所に法人格を求めており、
このニーズに応えられるだけの法人数が確保できていないという現状がありました。

また、無限責任を負う社員弁理士が2人以上必要という、現行の制度だと、
法人化を断念するケースが多くありました。

さらに、1人の社員弁理士が死亡することで、
法人を解散せざるを得ないケースもあり、
経営弁理士の高齢化に鑑みても、
事務所の承継制度を整備する必要が急がれる状況にあります。

こういった背景から、社員1名でも法人設立ができるようにして、
事業の継続性を担保し、個人資産と事業資産の分離化を図り、
顧客からの信用を確保することとしました。

顧客からの要望で法人化を検討

私自身、現在は1人で事務所経営をしているのですが、
もしかしたら、お客様から「法人化して事業の継続性を担保して欲しい」という
ご要望はあるのかもしれません。
顧客からの要望で特許業務法人化したというケースもあります。

弁理士を取り巻く状況はかなり変化しているので、
今のところ組織化するつもりはないのですが、
法人化は少々検討する余地はあるかなと感じました。

もし、法人化して欲しいとか、その理由などありましたら、
教えていただければ嬉しいです。

※参考資料:「弁理士制度の見直しについて」(日本弁理士会)
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/benrishi_shoi/document/15-shiryou/shiryo06.pdf

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