秘密意匠(意匠法14条)とは?最長3年の非公開で模倣リスクを下げる

秘密意匠(意匠法14条)とは?最長3年の非公開で模倣リスクを下げる

発売直前までデザインを伏せておきたい――そんなニーズに応えるのが秘密意匠です。意匠は通常、設定登録後に意匠公報で内容が公開されますが、設定登録の日から最長3年間、公開を保留できます。

何が“秘密”になるのか

秘密意匠の請求が認められると、秘密期間中は意匠公報に次の情報が掲載されません(期間満了後に掲載されます)。

  • 意匠に係る物品名
  • 意匠分類
  • 創作者名
  • 意匠に係る物品の説明、意匠の説明
  • 物品・建築物・画像の表示(図面/写真/ひな形)
    など

※出願・登録番号、出願・登録日、意匠権者名等の最小限の情報は公報に掲載されます。

いつ・どう請求する?

請求のタイミングは2通りです。

  1. 出願時に請求
  2. 設定登録料(第1年分)を納付するときに同時請求

出願時と登録料納付時の重複請求は不要です。請求する場合は、「秘密にすることを請求する期間」(上限3年)を明記します(「36月」「3年」など)。

手数料(公費)

  • 秘密意匠の請求手数料:5,100円/出願
    (弁理士に依頼する場合は、別途弁理士の手数料がかかります)

期間は変えられる?(期間変更の請求)

秘密期間は最長3年の範囲で変更(延長 or 短縮)可能です。変更する場合は、満了の概ね1か月前までに「秘密意匠期間変更請求書」を提出します。
なお、すでに経過した期間を下回るような短縮はできません

よくある質問

Q. 秘密期間はいつから起算しますか?
A. 設定登録日から起算して最長3年です(出願日ではありません)。

Q. 出願時に請求した後、登録料納付時にも再度請求が必要ですか?
A. 不要です。いずれか一方で足ります。

Q. 秘密期間中でも意匠権は発生しますか?
A. はい。設定登録により権利は発生しており、公報掲載だけを遅らせます。

実務での使いどころ

  • ローンチ合わせ:発売タイミングまで図面や詳細を伏せ、模倣の立ち上がりを遅らせる。
  • 競合牽制:権利は先に確保しつつ、外部からの詳細把握を困難に。
  • 開示設計:秘密期間後に公報へ出ることを前提に、図面・説明の“見せ方”を事前に整える。

手続メモ(登録料納付と同時に請求する場合)

  • 意匠登録料納付書の「秘密期間」欄に希望期間(上限3年)を記載。
  • 第1年分の登録料に5,100円を加算して納付。

まとめ

  • 設定登録日から最長3年、意匠公報での公開を保留できる。
  • 出願時または第1年分登録料の納付時に請求。期間変更も可能。
  • 図面や説明等が公報に掲載されないため、発売直前まで内容秘匿ができる。

公開タイミングと出願・登録の工程設計が肝です。秘密意匠の要否判断、請求書類の作成、期間変更の管理まで、実務フローに合わせてサポートします。