意匠権を取得したら、その効力はいつまで続くのでしょうか?
商標や特許と同様に、意匠にも「存続期間」があり、期間満了後は誰でも自由に使えるようになります。
この記事では、意匠の存続期間や更新制度、実務上の注意点について弁理士がわかりやすく解説します。
意匠の存続期間の基本
意匠権の存続期間は出願日から25年間です(意匠法21条)。
- 出願日から25年が存続期間の上限
- 設定登録された日からカウントするのではない点に注意
- ただし、意匠権は設定登録の日から発生する(意匠法20条、43条)
- つまり「出願から登録までの審査期間は、存続期間に含まれてしまう」ため、登録に時間がかかると「権利が発生していない期間」が長くなり、結果的に権利行使可能期間が短くなる
更新はできる?
意匠権には商標権のような「更新制度」はありません。
25年が満了すれば自動的に権利は消滅し、以後はパブリックドメインとして誰でも利用可能になります。
なお、1年ごとの登録料を納付しなかった場合は、その年度で意匠権が消滅し、25年の存続期間満了前にパブリックドメイン(自由利用可)になります。
存続期間の数え方
- 起算日は出願日
- 存続期間は25年で、満了後は権利が消滅
例:
2025年4月1日に出願した意匠 → 2025年12月1日に登録 → 2025年12月1日〜2050年4月1日まで存続
登録に時間がかかっても、期間は出願日から起算するため、その分だけ実際の権利行使可能期間が短くなります。
意匠の存続期間と戦略
- デザインのライフサイクルに合わせる
25年間の保護で十分なケース(例:家電・家具のデザイン)もあれば、長期ブランド戦略上は商標登録と組み合わせる必要があるケースもあります。 - 関連意匠制度の活用
・関連意匠を組み合わせることで、同じ25年間の中で複数のバリエーションを戦略的に守ることができます。
・関連意匠は基礎意匠の存続期間内に限り有効(意匠法21条2項)で、関連意匠を出願したことで、基礎意匠より長く保護できるわけではない点に注意が必要です。 - 商標との併用
・商品やパッケージ形状は、意匠権で25年保護した後も、立体商標として登録できれば長期的にブランドを守れます。
・ただし、立体商標は 「自他商品識別力」を獲得している必要があり、登録のハードルが高く、単なる商品形状等ではほぼ登録できません。
・実際に登録されているのは「コカ・コーラのボトル」など、極めて著名な事例が中心です。
実務上の注意点
- 出願前に公表すると新規性を失い、そもそも登録できないリスクがある
- 海外では国によって存続期間が異なる(多くは25年、短い国もある)
- ブランドの長期保護には、商標・著作権との組み合わせが重要
まとめ
- 意匠権の存続期間は出願日から25年間
- 更新はできず、満了後は誰でも利用可能
- ブランドを長期的に守るには、商標登録など他制度と併用するのが有効
弊所では、
- 意匠登録の可否調査
- 出願から登録までのサポート
- 商標・著作権との組み合わせ戦略
までトータルにご提案しています。
「自社のデザインをどう守ればよいか」とお悩みの方は、ぜひご相談ください。