猿が撮った写真に著作権はある?

猿が撮った写真に著作権はある?

2022年5月24日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/628cd83b3c58370007a9d1db

前回は、AI(人工知能)が創作したものに著作権はある?というお話をしました。
今回は、「猿が撮った写真に著作権はある?」というテーマでお話をします。

さあ、皆さんはどっちだと思いますか?

人間も猿の一種だとか、
人間とチンパンジーのDNAは99%一致しているんだ、
という話は置いておいて、
著作権は果たしてあるのかどうか。

答えは、「なし」です。
猿が撮った写真に著作権はないんですね。

これは実際に米国で裁判になったのですが、
2011年にインドネシアのジャングルにいた猿が、
スレーターさんという写真家のカメラを使って、
自撮りをしたんですね。
サムネの写真がその写真です。

それで、スレーターさんがこの写真を自費出版で写真集として販売したのですが、
そうしたら、動物愛護団体が「猿の著作権が侵害された」として、
彼と出版社を訴えたんですね。

2年の裁判の末、「猿には著作権保護が適用されない」と判断されて、
写真家のスレーターさんが勝訴しました。

ただその後、スレーターさんと動物愛護団体は、
共同で声明文を発表して、
写真集の収入の1/4は、
その猿の生息地や生活を守ることに使う目的で、
寄付されることになりました。

ハッピーエンドですね。

まあ前回もご説明した通り、
「著作物」は日本の法律でも、
思想又は感情を創作的に表現したもの
と定義されていて、
思想も感情も人間だけが持っているという前提があるんですね。

だから人間以外のAIとか動物が、
何かしら創作をしたとしても、
著作権は発生しないということになります。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。