※2024年7月16日配信メルマガVol.289より抜粋(一部加筆修正あり)
「牛丼といえば吉野家」はなぜ定着?
突然ですが、「牛丼」といえば、
まず最初にどのお店を思い浮かべますが?
人によっては、
「すき家」とか「松屋」が出てくるかもしれませんが、
多くの人は「吉野家」が思い浮かぶかと思います。
「牛丼」は牛鍋を丼飯にかけて誕生した料理で、
当初は「牛めし」と呼ばれていました。
それを「牛丼」と名付けたのが、
吉野家の創業者の松田栄吉氏です。
なので、「牛丼といえば吉野家」と考えるのは、
歴史的にみても正しいのですね。
吉野家の牛丼のことを、
「吉牛(よしぎゅう)」と言ったりしますが、
実は「吉牛」は吉野家HDの名義で商標登録もされています(登録第6039344号)。
「吉牛」は、消費者の間で自然発生した言葉だと思いますが、
他のお店は、「すき牛」とか「松牛」などと言わないので、
よほど「牛丼といえば吉野家」の認識があることの裏付けと言えるでしょう。
頭の“引き出し理論”とは
消費者の購買行動の視点から考えると、
「牛丼を食べようかな」と思った時に、
お客さんは頭の中にある引き出しを開けています。
その頭の引き出しの中のいちばん手前にある「吉野家」という選択肢を選んで、
店に足を運んでいる(=購入する)というわけですね。
これをマーケティングの用語で
「引き出し理論」と言います。
引き出しの中身は人それぞれとはいえ、
いかに多くの人に引き出しのいちばん手前に入れてもらえるか、
つまり最初に思い出してもらえる状況を作るか、
が、売れる確率を高める上で重要なのですね。
ブランディングでお客さんの引き出しの手前に入ろう
カップラーメンといえば、何を思い浮かべますか?
洗濯用洗剤といえば?
普段着はどうでしょうか?
身の回りのものを見渡してみると、
大体、思い浮かべたもの(=頭の引き出しに入っていたもの)
で囲まれていることでしょう。
そして、自分の事業の分野では、
なるべく自分の商品がお客さんの引き出しに入るようにすることが大切です。
これが「ブランディング」になります。
中小・個人でも勝てる“引き出し”の作り方
その際には「何の引き出しで勝負するか?」で、
ブランドの作り方が変わってきます。
例えば、「朝食は何にしようかな?」という引き出しを開ける場合は、
おにぎりやパンといった、あらゆる選択肢から選ばれるように
マーケティングを考えなければなりません。
これは大変ですね。
コストがかかりすぎて、大手企業にしかできません。
でも、「長距離トラックドライバーが早朝に10分でかき込んで、
身体が温まりお腹もいっぱいになれる朝食」
という引き出しなら、結構数が絞られてきます。
引き出しの定義次第では、
中小企業や個人事業主でも、なんとかなりそうに思えてきませんか?
このように、特定のニーズを持ったお客さんの頭の引き出しに確実に入るよう、
「何の引き出しで勝負するか?」
という視点も忘れずにいたいですね。