※2023年5月23日配信メルマガVol.229より抜粋(一部加筆修正あり)
比較対照試験で利用される「プラセボ(偽薬)」
「プラセボ効果」という言葉を聞いたことがあると思います。
「プラセボ」とは「偽薬」のことで、
薬として効果のある成分が入っていない偽薬を服用しても、
患者が「効き目がある」と思い込むことで
病気の症状が改善する効果のことを言います。
人に対して薬理的効果のほとんどない
ブドウ糖や乳糖が使われることが多いそうで、
主に比較対照試験で利用されることが多いです。
「プラセボ」を一般向けに販売する意図とは?
そんな「プラセボ(偽薬)」を
「一般向け」に販売している会社があるのをご存知でしょうか?
滋賀県大津市にある「プラセボ製薬株式会社」で、
「製薬」とついていますが、
食品として用いる偽薬の企画、販売を行っています。
https://corp.placebo.co.jp/
いったい、何のために一般向けに販売しているのでしょうか?
①認知症患者の服薬管理
1つは、認知症の方などの服薬管理のためです。
すでに薬を飲んだのに
「飲んでない」といって
重複して飲んでしまうと、
副作用の危険がありますよね。
そうかといって薬を隠すと、
暴力や暴言をはたらく患者の人もいるようです。
この過剰服薬によるリスクを回避するために、
薬の代わりにプラセボを飲ませるのです。
②子供のプラセボ効果
もう1つは、子供などのプラセボ効果のためです。
「頭痛い」「お腹痛い」
といったときに、
本当は薬を飲ませたくないけど、
このプラセボを飲ませて
「飲んだら大丈夫だよ」
と言ってあげると、
本当によくなることがあります。
③その他の目的
他にも、服薬依存対策や減薬時の代替、
服薬練習、演技や演出上の小道具など
さまざまなシーンで活用されています。
BtoCだけでなく
介護施設のようなBtoBの需要も大きいので、
高齢化が進む日本において
今後かなり期待されます。
「プラセボ製薬」のブランディング
知的財産の観点からは
「プラセボ製薬」という商標を登録して押さえているのも
ポイントが高いと思いました。
事業内容がすぐわかるし、
ありそうでなかった、でも確かに需要があるということで、
今後競合が出てきそうなところ、
すでにネーミングがリーディングカンパニーなので、
競争優位に立ちやすいと思います。
偽物であることを逆手にとって
「偽」という漢字の成り立ちを「人の為(ヒトノタメ)」と解釈し、
「ニセモノ“だから”できること」と肯定的に捉えて
コーポレート・スローガンを作っている点も含めて、
恐るべきブランディングのセンスを感じます。
いずれにしても、
プラセボに目を向けた着眼点と、
そこで一点突破する力がすごいですね。
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