※2024年12月24日配信メルマガVol.312より抜粋(一部加筆修正あり)
シェアリングエコノミービジネスのリスク
「シェアリングエコノミー」の市場規模は
2032年度には15兆1,165億円に拡大すると予測されています(シェアリングエコノミー協会より)。
新規事業を検討する際に、
「うちでも何かできないかな?」
と一度は検討されたことがあるかもしれませんね。
遊休資産を効率的に活用するため、
初期投資を抑えながら収益の機会を得られるという点で、
大きなチャンスがありますが、
もちろんリスクも存在します。
UberやAirbnbで見られたように、
伝統的な産業との対立や法規制が壁になる点や、
シェアリングエコノミービジネスを展開するプラットフォームの
信頼性に依存する点などが挙げられますが、
最近特に大きく問題になっているのが
「需要と供給の不均衡」です。
なぜ需要と供給の不均衡が起きるのか
他人の資産と利用者をマッチングさせるビジネスにおいては、
特に「供給」をいかに確保するかが重要です。
「供給」の量をうまくコントロールできなかったばかりに、
サービス終了してしまったのが、
個人間カーシェアリングサービスの「エニカ(Anyca)」です。
エニカは、新型車や高級車含む1,300以上の豊富な車種を、
リーズナブルな料金で提供するカーシェア&レンタカーサービスでしたが、
今年12月31日をもってサービス停止になることが決まりました。
公式サイトには、
思い描いていた規模に遠く及ばずにサービス終了
と記載されていますが、
その大きな原因が「貸す人が増えなかった」ことと言われています。
自分が使っていない時に車を貸すことで収益が得られることから、
需要がありそうなのになぜ?と思いますが、
そのチャンスを上回るリスクがあるのです。
個人間カーシェアリングの“供給が増えない”構造
例えば、ユーザーに貸し出した後、
シートやミラーの位置が動かされてそのままであることが多いので、
元通りに戻す手間がかかります。
また、車に汚れやキズが付着したり、故障したりする恐れもあります。
ユーザーの過失によるものかどうかの判断もしづらいため、
トラブルの元になることが多いのですね。
付属品の紛失や、ガソリンを補充してくれないといったこともあるようです。
さらに、車の受け渡しやスケジュール調整など、
ユーザーとの直接のやり取りが面倒だと感じることも大きいです。
特にトラブル発生時のやり取りは、なかなか話がつかないこともあり大変です。
こういったデメリットもあり、
貸し出すのをやめてしまう結果、
「供給」が不足してしまうんですね。
このように、他人の資産と利用者をマッチングさせるビジネスにおいては
「需要と供給の不均衡」が度々起こるので、
事前にそのようなリスクを想定して洗い出しておくことが大切でしょう。