※2024年8月20日配信メルマガVol.294より抜粋(一部加筆修正あり)
目次
全国3位の店舗数を誇るコーヒーチェーンは…?
スターバックス、ドトールに次いで
国内コーヒーチェーン全国3位の店舗数を誇るのは
どこだか分かりますか?
タリーズ、サンマルク、ベローチェ…
色々なカフェの名前が思い浮かぶと思いますが、
答えは「コメダ珈琲店」です。
昨年7月には東京の新橋に1,000店舗目がオープンしました。
カフェといえば、カウンターで注文して客席まで自分で運ぶ
セルフサービスのカフェが一般的ですが、
コメダは客席で注文して商品を運んできてもらう
昔ながらの喫茶店スタイル(フルサービス)のカフェです。
フルサービスのコメダが店舗数を増やせる理由
セルフサービス系に比べると、
滞在時間が長く回転率があまりよくなさそうですが、
なぜここまで店舗数を増やせているのでしょうか。
空間設計:居心地最優先で黄金比ソファ開発に十数年かけた
それは、他のカフェチェーンが真似しにくい
「居心地の良さ」や「くつろぎ」を売りにしたからです。
普通のカフェチェーンは、
椅子の座面が硬くて短時間で退店したくなるようになっています。
高い回転率を維持するためにくつろぎを犠牲にしているのですね。
一方、コメダの場合は、ベロア調の赤いソファーを採用しており、
その奥行きや膝下の高さ、背もたれの形状が、
人が最も心地よく感じる”黄金比”で設計されています。
https://www.komeda-holdings.co.jp/annual2024.pdf
開発に十数年かけたということですから、
そのこだわりが伝わりますね。
心地よさをいつでも思い出してもらうために、
ソファ柄のクッションやブランケットなどのグッズ化もしています。
https://ec.komeda.co.jp/search?q=%E3%82%BD%E3%83%95%E3%82%A1&type=product,page,article
また、席の間仕切りも、
座った時には、他の人の視線が気にならないように、
立った時には、圧迫感を感じさせないように、
高さが調整されています。
内装が木目調になっているのも、
木の温もりを感じられるためだし、
席や通路の広さや天井の高さなども、
ほっとくつろげるよう計算されているそうです。
席に電源コンセントがあるのも特徴ですね。
顧客体験:非合理サービスが記憶に残る
このコメダが提供している「居心地の良さ」や「くつろぎ」という価値を、
すでに何百と店舗数のある他のカフェチェーンが真似するのは大変です。
なぜなら、水に氷が入っていたり、紙製ではなくタオル製のおしぼりが出てきたり、
採算の面で非合理的と思えることを平気でやっているからです。
コメダの真似をすると、どうしても利益が出なくなってしまいます。
コメダが利益を出せているのは、
はじめから「居心地の良さ」や「くつろぎ」と言ったコンセプトを守った上で、
出店場所なども決めているので、真似しようがありません。
オペレーション:ピーク分散で固定費吸収
また、普通の飲食店と違って、ランチとディナータイムだけでなく、
1日を通して一定の来客があるので、
ピークタイムが分散されていることで、
人員配置やオペレーションを効率化させることができます。
この点も真似しにくいポイントですね。
長期的な強みは差別化されたコンセプトから生まれる
メニューやネーミングやロゴやデザインといった表面的な部分は、
誰でも「真似しやすい」ポイントなので、
商標や意匠、特許などの知的財産権で守ればいいでしょう。
しかし、最も差がつき長期的な強みにつながるのは
競合とは差別化されたコンセプトをもとに作り込んでいった、
上記のような「真似しにくい」ところで、
権利では守れない知的財産の部分にあるのです。