王者カルビーに勝つ!―業界2位・湖池屋が示した“生き残り戦略”

王者カルビーに勝つ!―業界2位・湖池屋が示した“生き残り戦略”

※2024年7月23日配信メルマガVol.290より抜粋(一部加筆修正あり)

元祖辛口スナック「カラムーチョ」の湖池屋は、かつて業界No.1だった

先日、激辛ポテトチップスを食べた高校生14人が、
体調不良に見舞われ病院に搬送されたというニュースがありました。

若い人の間では「激辛チャレンジ」と称する遊びがあるようで、
海外では死者も出たそうです。
危ないので気をつけてほしいですね。

ところで、辛いスナック菓子の元祖といえば、
湖池屋の「カラムーチョ」ではないでしょうか。

湖池屋は、日本で初めてポテトチップスの量産化に成功した企業で、
1975年にはポテトチップス市場でシェアNo.1を取っていたそうです。

しかしながら、1980年代にはカルビーが逆転し、
79.9%と圧倒的に高いシェアを取るようになりました。
つまり、この市場においては、
カルビーがリーダー企業、湖池屋はシェア2位のチャレンジャー企業
となったわけです。

チャレンジャー湖池屋が採用した「逆張り×差別化」の実践

この状況で、湖池屋がカルビーに対抗して採った戦略は…
全部カルビーの逆を行く」というものでした。

当時、辛いスナック菓子は世の中になく、
むしろタブーとまで言われていました。
お菓子は子供や主婦が食べるものと認識されていて、
商品化しても売れないと思われていたからです。

ただ、日本人は古くから唐辛子などで辛味に親しみがあり、
潜在需要はあるのではないかと考えました。

そこで、子供向けではなく、大人のおつまみと位置付け、
ポテトチップスとは異なるスティック状にし、
価格も2倍程度の高価格に設定しました。

当時は斬新すぎたため、
普通の小売・卸業者では扱ってもらえず
しかし、酒屋からの転向が多かったコンビニでは、
お酒のおつまみなら売れるかも」と考えて、
扱ってくれることになったそうです。

これが大ヒットして、やがてスーパーでも取り扱うようになり、
80年台の激辛ブームの火付け役となりました。

チャレンジャー企業の選択肢(コトラー)

マーケティングの神様とも呼ばれる
フィリップ・コトラーによると、
マーケットシェアの大きさに着目し、
自社の競争の地位を把握した上で
戦略を練る
ことはとても重要です。

業界1位のリーダー企業は、現状の維持及び需要の拡大が主な目標となり、
採るべき戦略は、他社よりも低コストで安価に商品・サービスを提供する
コストリーダーシップ戦略」や、
他社を真似する「同質化戦略」になります。

一方、業界2位のチャレンジャー企業は、
リーダーの地位を奪うことが主な目標となり、
採るべき戦略は、「革新的な差別化戦略」になります。

上記の湖池屋も差別化戦略を採っており、
「カラムーチョ」成功後の商品開発にも活かされました。
その結果、「ポリンキー」や「ドンタコス」「プライドポテト」といった
ユニークな商品が次々登場し、ヒットしたのですね。

業界2位には、業界1位とは異なる戦い方があります。
「革新的な差別化戦略」は簡単ではないと思いますが、
社内の意識改革も含めて取り組んでいきたいところですね。

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