デリバリー専門店が続々撤退…『接点ゼロ』が招く売上低迷のメカニズム

デリバリー専門店が続々撤退…『接点ゼロ』が招く売上低迷のメカニズム

※2024年7月2日配信メルマガVol.287より抜粋(一部加筆修正あり)

ゴーストキッチン急拡大の背景

新型コロナウィルスの蔓延とともに
新たに注目されたビジネスモデルであった
ゴーストキッチン(クラウドキッチン)」が、
現在は衰退の道を辿り始めているそうです。

「ゴーストキッチン」とは、
店舗も座席もなく、料理の配達だけを行うレストランのことで、
その配達もUber Eatsなどの
フードデリバリーサービスを使ったビジネスモデルです。

内装や厨房設備などの投資が要らないため
イニシャルコストが安く済ませられるのはもちろん、
店舗の維持や接客スタッフの雇用・教育といった
ランニングコストも大幅に削減できるため、
参入する業者も増えました。

失速の核心はフィードバック欠乏

しかし、コロナによる外出制限が撤廃された現在では、
なかなかうまくいかず、撤退するお店も増えているようです。

外出する人が増えて利用者が減ったことや、
材料費の高騰なども関係するかもしれませんが、
衰退している大きな理由の1つに
顧客との接点が少ない」点が挙げられます。

“接点ゼロ”がもたらす3つの損失(品質改善・リピート・スタッフ士気)

普通の飲食店であれば、
食べに来たお客さんの表情や残った料理のお皿などを見れば、
これは美味しかったんだ」
この料理はイマイチだったのかも」
といった情報が手に入ります

また、丁寧な接客等を通じて、
「またあの店員さんに会いに行きたい」
「シェフの顔が見えて安心」
「お店の雰囲気が良かった」
といった、料理以外での再来店動機も生まれるかもしれません。

しかし、ゴーストキッチンでは、
これらのフィードバックの機会が得られず、
料理を改善するポイントを見つけるのが難しい
のに、
料理のおいしさだけで勝負しなければならないという、
厳しい勝負を強いられてしまうのですね。

また、飲食店で働く人の中には、
お客さんが食べて喜んでくれる姿が見たい
という人が多いのですが、
ゴーストキッチンでは注文を受けて作って配達に渡すだけなので、
こうした喜びも得られません

つまり、改善に繋がる悪いフィードバックも、
やりがいに繋がるいいフィードバックも得られない
ので、
お店として成長しないということですね。

他業界でも起こる“無人化の盲点”

このことは、他のビジネスでも応用して考えることができます。

例えば、今後AIやロボット等を使ってビジネスを自動化・省力化していくことが増えていきますが、
フィードバックの機会を失うことで、何かしらのデメリットがないだろうか?
と自問することが大切ですよね。

むしろ、ビジネスを存続させるためには、
コストをかけてでもフィードバックを取りに行った方が良いとも言えそうです。

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