年商目標の落とし穴──“1人当たり営業利益”で見直す本当の成長戦略

年商目標の落とし穴──“1人当たり営業利益”で見直す本当の成長戦略

※2023年12月19日配信メルマガVol.259より抜粋(一部加筆修正あり)

年商を追うと経営が苦しくなる!?

「年商○億円を目指すぞ!」のように
「売上高(年商)」の目標を設定することは
結構あるかと思います。

「売上高」は、商品・サービスの「単価」×「販売数量」で算出されるので、
分解して計画を立てやすいこともあるかもしれません。

ところが、「売上高」にとらわれてしまうと、
かえって経営が苦しくなる
こともあります。

例えば、「売上高」を上げるために
商品・サービスの「販売数量」を増やそうとして、
「広告費」の増額を決めたとします。

「広告費」を上げれば、それに比例するように
「販売数量」が増えて売上が上がるように思いますが、
そのために広告が刺さらないターゲットにまで周知することになり、
広告の効果が落ちてしまって、
CPA(顧客1人当たりの獲得単価)が増えてしまうことがあります。

そうすると、「売上高」に対する「広告費(販管費)」の割合が増えていき、
「営業利益率」が下がってしまうことになります。

年商10億円の壁が生じる理由

また、「販売数量」が増えたとしても、
そのせいで人事や総務、広報の部署などに新たな人材が必要になることがありますし、
新しいシステムを導入する必要が出てくるかもしれません。

俗にいう「年商10億円の壁」というのがあり、
年商10億円から20億、30億円を目指し始めると、
それまでは必要なかった人材が必要になると言われています。

これらも「販管費」に含まれますから、
さらに「営業利益率」が下がってしまうのです。

資本調達にも変化が…

さらに、これらの「販管費」のために
借り入れを増やしてしまうと、
「支払利息(営業外費用)」が増えるので、
「経常利益」を圧迫してしまうのです。

つまり、売上(年商)を上げようとして、
かえって利益率を下げてしまい、
ひいては利益が減ってしまう=経営が苦しくなることもあるのですね。

したがって、年商の代わりになる目標数字を
併せて考えるのが現実的です。

「1人当たり営業利益」を高める

例えば、「1人当たり営業利益」を意識する企業があります。

営業利益」は、「売上高」から「売上原価」を引き、
さらに「販管費」を引いた金額
です。
いわゆる、「本業で儲けた数字」すね。
その「営業利益」を従業員数(非正規雇用は含まれないのが一般的)で割った数字が、
1人当たり営業利益」です。

この「1人当たり営業利益」が高くなるほど、
本業の利益を生み出す労働生産性が高まっていることになるので、
その数字の変化は、企業の成長を測る上でも重要ですね。

一般的には「1人当たり営業利益」が500万円あれば、
割と優良な会社
と言われているので、
まずは500万円を目指したいところ。

1,000万円を超えると、
かなり労働生産性が高い企業
に。
なお、1,000万円超えの上場企業は275社あります(2022/07/26時点)。
https://toyokeizai.net/articles/-/605885
上場企業で約4,000社中の275社なので、
10%にも満たず、かなりハードルが高いですが、
目指す数字としては申し分ないでしょう。

ただし、業種やビジネスモデルによっては、
ある程度上限が決まってくる
ので、
その点は注意が必要になります。

【サムライツ(R)】公式メルマガ(無料)
  *
  *
メールアドレス  *