※2023年11月21日配信メルマガVol.255より抜粋(一部加筆修正あり)
廃業が続くひな人形業界に後発で参入
衰退気味の伝統産業に後発で参入することは、
どう考えても困難な道のりにしか思えないことから、
なかなかやろうと思う人は少ないものです。
ひな人形もそんな衰退しつつある伝統業界の1つで、
高額なひな人形はあまり売れず、
廃業する会社が後を絶たない状況。
代わりに、ネット通販やスーパーなどで安物の人形が売れ筋となっていました。
しかし、そんなひな人形の業界に2008年に参入し、
平均単価が高いのにもかかわらず、ネットでの販売のみで、
毎年秋に販売受付をすると1年先まで予約注文が入るほど
成功している企業があります。
東京の日本橋にある「ふらここ」です。
https://www.furacoco.co.jp/
お母さん世代のニーズをとらえた「ふらここ」
「ふらここ」の人形の特徴は、
小さな棚にも置けるコンパクトなサイズで、誰でも簡単に飾れる点、
そして、まんまるの赤ちゃん顔をした人形で、とても可愛らしい点、
などが挙げられます。
ひな人形だけでなく、五月人形も人気で、
伝統的には「美しい」「カッコイイ」デザインが多かったこれらの人形ですが、
「ふらここ」のものは、丸みを帯びた「かわいい」デザインになっているのが特徴です。
これまでのひな人形や五月人形は、
職人の熟練の技による造形美に誇りを表していましたが、
「ふらここ」は「お客様が本当に欲しいと思う節句の人形を作りたい」と思い、
お母さん世代の女性の社員の意見を積極的に取り入れて行ったそうです。
一昔前は、祖父母が孫のために節句の人形を贈っていましたが、
気に入らないという悲しい理由で返品もあったようです。
今は、祖父母がお金を出し、お母さんが子どものために選ぶ時代になったため、
お母さん世代のニーズを把握することが大切なのですね。
その結果、いろんな顔やサイズが選べるようにしたり、
子どもに向けた願いの種類から選べるようにしたりしました。
ユニクロやZARAと同じビジネスモデルを採用
また、雛人形の業界は作る職人と売るお店が別々なのが普通ですが、
「ふらここ」は、企画からデザイン、製造、販売まで垂直統合型で行う、
SPA(製造小売業)と呼ばれるビジネスモデルを採用しています。
アパレルで言うと、ユニクロやZARAなどと同じモデルですね。
このモデルにより、
顧客ニーズを素早く的確につかんで対応することができたそうです。
また、HPを見るとわかるように、値段は決して安くありません。
値引きなどは一切していないようです。
価格を高くしないと、若い職人がこの仕事をやろうと思わないため、職人が育たないでしょう。
もちろん、昔ながらの技術を活かした高い品質で作られており、
お客さんからはほとんどクレームが来ません。
お客さんは、必ずしも「安ければいい」と思っているわけではないのですね。
富裕層に限らず、
本当にいいもの、質の高いもの、満足度の高いものであれば、
高い値段でも欲しいと思うものです。
逆に言えば、高く売るためには、
お客さんのニーズを商品に反映できる「仕組み」が必要で、
そのためのビジネスモデルや、組織作りが大切なのだと言えますね。
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