一流音楽プロデューサーに聞いた売れる作品の特徴

一流音楽プロデューサーに聞いた売れる作品の特徴

※2021年12月21日配信メルマガVol.155より抜粋(一部加筆修正あり)

ビジネスの世界における「いい作品」とは?

先日、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなどの音楽プロデューサーをされている
中脇雅裕さんという方のお話を聞いてきました。

ヒット商品が生まれる秘密という、結構興味深い話をされていたので、
何か絵を描いたり、音楽を作ったり、ものづくりをしているクリエイターの方に、
シェアいたします。

まず「いい作品」ってどういうものだと思いますか?
感動するとか、いい気分がするとか、
多くの人に愛されてるとか、
いろんな答えが出てくると思います。

これは、趣味の世界の話ではなく、
商業ベース、ビジネスの世界の話ですね。
つまり、「売れた作品」が「いい作品」ということになります。

これはジブリの鈴木敏夫プロデューサーも言っていたことだそうですが、
まず人の目に留まって、そして買ってもらえるからこそ、
「いい作品」と言えるわけなんですね。

主語は「自分」ではなく「お客さん」

ただ、芸術家とかクリエイターといった創り手は、
自己表現でものをつくってしまう
主語が自分であることが多いという問題点があります。

アートそのものは自己表現でいいんですが、
エンタメビジネスとなると、
やはり主語はお客さんであり、
マーケットのことを無視することはできないんですね。

じゃあどんなお客さんに、どうやったらウケて、刺さって、感動してもらえて、売れるのか、
ここが重要ですよね。

売れる作品は「安定」か「緊張」の2択

その中脇さんが売れる作品をプロデュースするときに考えるのは、
安定」を感じられるものか、「緊張」を感じられるものか、
この2択だと言っているんですね。

「安定」か「緊張」か。
その真ん中は売れないと、はっきり明言されています。

「緊張」の例

例えば、私は岡本太郎が大好きなんですが、
岡本太郎なんて、「緊張」そのものですよね。
あの全身全霊で命をぶつけるように激しく描かれた作品、
初めて見た時に、心臓を抉られるような衝撃を受けました。

それから、バンクシーは、街の壁とかに社会風刺的な絵を描いたり、
オークションで落札直後に絵をシュレッダーで裁断するという
驚きのパフォーマンスをしたことで話題になりました。
バンクシーも緊張ですね。

他にもいろんな、時代の先端を行くアーティストは、
みんな「緊張」があります

ただ、時代の先端を行く分、飽きられるのも早いです。
だんだん見慣れてくると緊張もなくなるので、
緊張と安定の真ん中にきて、売れなくなるんですね。
だから常に、緊張を求めて、新しいものを作らないといけません。

「安定」の例

一方、「安定」を生むものもあります。
「安心」と言ってもいいかもしれません。

例えば、東山魁夷ってご存知ですか?
最近偽物の版画が流通して話題になったのですが、
すごく心がほっとするような風景画が特徴的です。

この「安定」というのは、新しい必要はないんですが、
質の高さが必要なんですね。

「安定」ということは、常に一定の品質を保つ必要があるので、
技術的な難しさだったり、シンプルさといった要素が必要になってきます。

「緊張」の方は、新しさとか刺激が重要なので、
そこまで技術的な難しさや質の高さは求められないけど、
「安定」の方はそれらが求められるんですね。
これって創作活動全般、
そしてアート以外のビジネスにも通じることだと思います。

ビジネスは、最初は「緊張」が必要?!

ここからは私の考えですが、
ビジネスに関しては、まだ知名度がない段階では、
最初は「緊張」が必要なのではないかと思います。
というのも、まずは目に留めてもらえないと、
知ってもらって、買いたいと思ってもらうことはできない
からです。

「緊張」で知ってもらい、ファン(顧客)ができたら、
だんだん飽きられてくる頃に「安定」を目指す
「安定」でファン(顧客)の定着と、
ファン(顧客)のロイヤルティを高めていくのです。

「安定」で着々とファンの基盤ができたら、
並行して新しい「緊張」を仕掛けて、
新規のファン(顧客)を作る

このサイクルが、ファン(顧客)を増やして、
ビジネスを強固なものにしていくのではないでしょうか。

ぜひ「安定」と「緊張」を意識されてみてください。

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