※2019年12月24日配信メルマガVol.51より抜粋(一部加筆修正あり)
先行者利益って本当?
よく「先行者利益」といった言葉がまことしやかに使われますが、
実際は、先発企業が一生懸命失敗を繰り返し、コストをかけてやっと開拓した市場に、
後発企業が悠々と参入して、さほどコストをかけずにシェアを奪い取るということがよくあります。
クレジットカードなんかはその典型例ですね。
ダイナースクラブが世界初の国際ブランドのクレジットカードを発行しましたが、
今や市場シェアでは、VISAやMaster Card等に大きく水をあけられています。
後発企業が成功する上で、先発企業の取り組みをうまく真似していくことは欠かせません。
すでに世の中で公開されている、成功例と失敗例を利用できるのは、
まさに「追随者利益」と言っても過言ではないでしょう。
ただ先行者の真似をしてもダメ
もちろん、ただ単に先発企業の真似をして参入したからといって、
うまくいくわけでもありません。
ヤマト運輸が翌日配送サービスを始めた時、
競合他社35社が一気に宅配事業に参入しましたが、
ほとんどが失敗に終わりました。
小口の荷物を集荷して配送するには、ヤマトのような密度の濃いネットワークが必須だったのに、
なんのネットワークもなしに真似しようとしたからです。
また、真似の仕方を間違えると、他者の知的財産の侵害となって、
事業の停止や損害賠償請求に追い込まれる事もあります。
世間の批判にさらされ、自社のブランドが失墜する事もあり得ます。
これらは、表面的なところだけを真似ているから、起こりうる失敗例ですね。
より質の高い真似をする方法
つまり、他者を真似するには、表面ではなく、
うまくいっている「本質」の部分を真似しなければなりません。
「本質」を抜き出した上で、自社に具体的に当てはめる力が必要です。
では、どうすれば質の高い真似ができるのか?
1つの方法として、真似する際に「異業種からのヒントを組み合わせる」という方法があります。
異業種の例を取り込む際は、そのまま自社に採用できるものではないので、
自ずと、うまくいっている「本質」を取り出すことになり、
自社に合うように試行錯誤が必要となるからです。
それがオリジナリティにもつながるのですね。
低価格メガネ「JINS」の事例
例えば、低価格メガネのJINSは、
韓国の安いメガネと日本の高いメガネの価格差に驚き、
メガネ業界を調べたそうです。
すると、国内のメガネ屋は、来客もまばらで繁盛しているように見えないけれど、
業績は良く、レンズメーカーもフレームメーカーも問屋も、高収益を上げていることがわかりました。
そこで、価格が高止まりしているメガネ業界の構造の穴をつくべく、
当時破竹の勢いで成長していたユニクロにヒントを得て、
海外に生産拠点を持つSPA(製造小売)モデルを採用し、
ツープライス制の格安メガネ事業を始めたのだそうです。
(SPAモデルの採用自体は、Zoffの方が先だったようですが)
単に価格を安くするだけでは、薄利になりますが、
ユニクロが成功したように、製造と販売を一貫して管理する点を真似たことで、
安くファッション性に富んだメガネを量産できるようになりました。
このように、異業種からヒントを採用することで、
後発であっても、先行企業にはない、新たな価値を顧客に提供できるかもしれません。
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