先発と後発の経営戦略の違い

先発と後発の経営戦略の違い

※2019年11月12日配信メルマガVol.45より抜粋(一部加筆修正あり)

発毛剤のCMが増えているワケ

最近、発毛促進剤関係の商品を、よく見かけませんか?

例えば、ロート製薬初の発毛剤「リグロ EX5」や、
元SMAPの香取さん、草なぎさんがCM出演する、
「ミノキなら生える」のフレーズでお馴染みのアンファー「スカルプD メディカルミノキ5」など。

実はその背景には、
発毛剤市場で独占してきた、大正製薬の「リアップ」の特許権が、
数年前に期限切れになった
ことが関係しています。

発毛剤と育毛剤の違いは、
簡単に言えば、発毛剤は「医薬品」、育毛剤は「医薬部外品」にあたるということ。
発毛剤は「薄毛の治療のため」に、「髪の毛を増やす」のに対し、
育毛剤は「抜け毛の予防のため」に、「髪の毛を育てる」という効果の違いがあります。

「リアップ」の発毛成分は、「ミノキシジル」という名称で、
元々は血管拡張薬として開発されましたが、
発毛剤に転用されて開発され、1999年に国内で承認されることとなりました。
審査には7年かかったそうです。

特許切れと市場競争の関係

承認以前から、大正製薬は「ミノキシジル」を用いた特許を出願してきましたが、
特許は通常20年(医薬に限り、最大5年延長することもあります)で切れるため、
その少し手前のタイミングから、
アンファーなどもこの特許を用いた製品の開発を進めてきたのですね。
特許の内容は公開されますから、容易に分析することができますし、
製造の効率性を高めたり、価格を見直したりもできます。
ジェネリック医薬品の認可も、権利切れの2年前から可能です。

こうして、権利切れの瞬間から「よーいドン」で、各社が同様の成分を用いた製品をリリースして争うわけです。
つまり、ここで初めて「競争」という概念が生じ、「競争戦略」を考える必要が出てきます。
(あまり「競争」という概念は好きではありませんが、一般論として)

先発と後発、立場による経営戦略の違い

医薬の分野に限らず、
「自分が初めてこの商品やサービスを市場に出した」という、「リアップ」のような “先発の立場” に立つこともあれば、
「自分の前に先駆者がいた」という、「スカルプD メディカルミノキ5」のような “後発の立場” に立つこともあるかと思います。

先発組はリーダーを目指す

先発組は、やはりその業界の「リーダー」としての位置を確保することが大切です。
市場シェアや販売量はトップを目指し、
ブランディングの仕方も、「リーダー」感を出してメッセージを発信していきます。
マーケット全体の需要を拡大しようとする姿勢も重要です。
他社の権利がなければ、後発組が加えたプラスアルファの部分を真似することも検討します。

後発組は3つに分かれる

後発組は、「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の3タイプに分かれます。

●チャレンジャーはリーダーに挑戦せよ

チャレンジャー」は、シェア2位から「リーダー」に挑戦する立ち位置です。
「リーダー」の商品・サービスとは違った、革新的な差別化を狙い、
ブランディングの際も、「ここが違う」といった点を強調します。

●フォロワーはリーダーについていけ

フォロワー」は、とにかく「リーダー」の追随です。
ジェネリック医薬品のように、経営資源を効率化して、より安価で提供していきます。
いかに早く真似するかが重要で、「お得さ」でブランディングしていきます。

●ニッチャーは独自の地位を築こう

ニッチャー」は、特定の分野に特化して、独自の地位を築いていきます。
マーケットを絞り込んで、その中でのリーダー的な立場となり、
ブランディングの際も「〇〇に特化」という付加価値の高さをアピールします。
「リーダー」「フォロワー」があえてやらない、やろうとする気にならないところを狙うのがコツです。

以上のように、自分の市場における立場やありたい姿を理解して、
戦い方を決め、それに沿った打ち手をしていくと、有利に経営を進めることができるかもしれません。

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