音声配信で気をつける3つのこと

音声配信で気をつける3つのこと

2021年5月7日

こちらのブログ内容は、音声で聞くこともできます。
https://stand.fm/episodes/6008fb228ba7e1cb3f1ddbaa

結論としては、「著作権侵害」「商標権侵害」「不正競争行為」に気をつけましょう、ということになります。
順番に解説していきます。

★著作権侵害

まず、著作権侵害について、3つ気をつける点を説明します。

・音声コンテンツの無断利用

他人の音声コンテンツを、そのまま使ったり切り取ったりして、
音声プラットフォームにアップロードしたり配信したりすると、
著作権の中の複製権公衆送信権(送信可能化権)侵害になる可能性があります。
⇒また、自分の音声コンテンツであっても、会社の業務だったり、他社からの業務委託でその音声を撮っていた場合、
会社に無断でそのコンテンツを配信すると、やはり著作権侵害の可能性があります。
普通は、著作物を創作した本人に著作権があるのですが、
職務で創作した著作物は、雇い主や委託者に著作権が移るという契約がされていることが多いので、
その点は必ず両者で確認の上、取り扱いを決めてください。

・BGMの無断利用

⇒音声配信では、BGMの存在が欠かせないと思いますが、BGMにも当然著作権が発生しています。
また、音楽の場合は少し複雑で、著作権とは別に「著作隣接権」という、
アーティストやレコード会社のための権利もあります。
⇒したがって、利用許諾を得ていない音楽を背景に、音声配信することはできません。
この場合は、著作権の中の複製権公衆送信権(送信可能化権)などの侵害になる可能性があります。
⇒例えば、自分の好きな有名アーティストの曲をBGMに使ったり、
LIVE配信の中で後ろで音楽を流してしまったりしないように気をつけてください。
ただ、街歩いてたら、たまたま流れていた音楽が録音の中に入っちゃったようなケースは問題ありません。
⇒ちなみに、standfmには、JASRACとNexToneに登録のある楽曲については、
投稿時に「楽曲申請」というボタンから、利用申請できますので、こちらを活用されてみてください。
⇒なお、私のスタエフの配信で流れているBGMは、フリー素材サイトで利用規約を確認の上使用していますので、ご安心ください。

・本の朗読

⇒意外に思うかもしれませんが、音声配信の中で、本を無断で朗読することも認められていません。
オフラインの場で朗読するのは、著作権の中の「口述権」に該当して、
ビジネス目的じゃなく無料であればOKなのですが、
オンライン上では、「複製権」や「公衆送信権(送信可能化権)」に該当するので、
例え無料でも、無断での朗読はできないことになります。
ただし、「引用」という形で、本の内容を一部紹介しながら、
自分の意見や考えを述べるやり方なら大丈夫です。
ただ本を読んでるだけ、というのがNGということですね。

★商標権侵害

次に、サウンドロゴの商標権侵害の問題があります。
・商標登録されたサウンドロゴの無断利用
⇒「商標」と聞くと、商品名やサービス名、社名やロゴマークを思い浮かべると思いますが、
6年前の平成27年4月からは、「音の商標登録」ができるようになりました。
「音の商標」は、「サウンドロゴ」とも言われるもので、
よく TVやラジオのCMとかで、社名や商品名が効果音付きで流れたりするアレです。

例えば、「ファイトー!イッパーツ!」と叫んでいる「リポビタンD」のサウンドロゴとか、
「ヒサミツ♪」という「久光製薬」のサウンドロゴなどがあります。
最近は、音のみのサウンドロゴも登録されるようになって、
ラッパのマークの正露丸のラッパの音が商標登録されました。

サウンドロゴは、視聴者の注意を引きつけて、強く印象に残る効果があるので、
宣伝広告の世界ではよく使われている手段です。
そのサウンドロゴが、商標登録されている場合があるので、
音声配信で使ってしまうと、商標権侵害になる恐れがあります。

なので、他人のサウンドロゴを無断で使わないことが大事です。

★不正競争行為

最後に、不正競争行為です。
これは不正競争防止法という法律に違反することを言います。
・商標登録されてないサウンドロゴの無断利用
⇒商標登録されているサウンドロゴは、先程の商標権の問題ですが、
商標登録されていないサウンドロゴについても、
それが有名なものの場合は、無断での使用が不正競争行為に該当する場合があります。
したがって、他人がサウンドロゴとして使っているものは、
登録されているかどうかにかかわらず、使用しない方が無難です。

・営業秘密の公開
社内の会議とかの音声を勝手に録音して、それを公に配信してしまった場合、
その音声の中に「営業秘密」が含まれていたとしたら、不正競争行為に該当する場合があります。
営業秘密の公開は、結構重たい罪に問われることもあるので、
いくら会議の内容が面白かったからと言って、それを無断で公開したりはしないように気をつけてください。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。