「台風を弱める方法」が特許に!?

「台風を弱める方法」が特許に!?

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みなさまは台風14号の影響・被害は大丈夫でしょうか?
引き続き、お気をつけてお過ごしいただければと思います。

さて、台風のことをネタにしていいのか迷いますが、
特許の世界では、台風を弱める方法とか、
台風の進路を変える方法みたいな特許が出願されることがあります。

その前にまず台風が発生する仕組みですが、
台風は夏から秋の熱帯の海の上で発生するんですね。
赤道の北側の太平洋の上です。
この辺りは海水の温度が高くなっているのですが、
温められた空気と冷たい空気がぶつかって、
軽い方の暖かい空気が上昇して上昇気流が生じて、水蒸気が発生します。

その水蒸気が反時計回りに渦を撒きながら上昇して、
雲が発達して積乱雲がたくさん出来上がるんですね。
その積乱雲がワーッと集まって、渦を作っていって、
中心の気圧がどんどん下がって、
中心付近の雨風がガンガン強くなって、
台風が発生するという仕組みです。

台風は熱帯低気圧なんですが、
熱帯低気圧の中でも最大風速が17.2m/s以上のものが「台風」と定義されています。
つまり熱帯低気圧が発達したものが台風なので、
この熱帯低気圧をコントロールできれば、
台風をコントロールできるじゃないかという理屈で、
いろんな発明が特許出願されているわけですね。

例えば1997年、今から25年前に実際に「台風防止装置」という発明が特許になりました(特許第2727128号)。
審査で特許が認められたんですね。
こちらは、海水面を覆うカバーで台風を未然に防止するというものです。

どういう仕組み?と思うかもしれませんが、
まず、このカバーは通気口が設けられています。
海水面をカバーで覆うと、お魚さんが呼吸できなくなってしまうからですね。
それから、太陽光を反射させる表面処理が施されています。
要は、海水の温度が高くなって、水蒸気が発生することが、
熱帯低気圧発生の原因となっているので、
太陽光を反射させ、かつカバーで覆うことで、
水蒸気の発生や蒸発を防ぐわけですね。
そして、海面に浮かべた物体をアンカー(錨)によって海底につなぎ止めて、
その海面上に浮いた物体の間にこのカバーを取り付けています。
陸地につなぐのではなく、海面に浮かんだ物体に取り付けているんですね。
さらに、近くを通る船のために、警告装置が設けてあります。
そうしないとぶつかってしまいますからね。
ちなみにこの警告装置は、海流発電・波力発電が電源となっています。

ただ、想像していただければわかるように、
実際にこのカバーを取り付けるとなると、
膨大なカバーがないと台風を抑制することはできません。
そんなことしたら、船の往来を妨げますし、
海に敷き広げることも、回収することも困難です。
経済的に考えても現実的ではないですよね。

他にも、海面の表層の水温よりも低い、冷たい海水を海中からポンプとパイプで汲み上げて、
海面に送り込んで海面の水温を下げることで、水蒸気の発生を防ぐ発明も特許されました(特許第4559978号)。

こちらは2010年なので12年前ですね。
これは台風の発生を抑制するだけではなく、
青潮とか赤潮の発生も防ぐことができます。

その他にも、衝撃波を使って破壊するとか、熱帯低気圧の最適な位置にレーザーを照射するとか、
ヨウ化銀という物質を使って人工的に雨を降らせて、熱帯低気圧の勢力を弱めるとか、
いろんな方法が考案されています。
あのビルゲイツも、ハリケーン防止に関する特許を出願しております。
こちらも海水温を低下させる方法みたいですね。

ただどのアイディアも、現実的には規模が大きすぎるので、
経済的に難しかったり、別の問題が生じたりして、
実現化には至りません(多分)。

勘のいいあなたならお気づきかもしれませんが、
台風って自然に発生した現象なんですよね。
つまり、自然界に元々あるエネルギーが、
別の形に変換された結果が、
台風であったり、大雨であったり、
大雪、高潮、地震、津波であったりするわけです。

普通に考えれば、自然のいち産物に過ぎない我々人間がどうこうできる範疇ではないと思います。
それでも、こうした自然現象の制御・コントロールまで夢見てしまうのは
知能が発達したヒトという生物の性なのかもしれません。

※配信時点の判例通説等に基づき、個人的な見解を述べています。唯一の正解ではなく、判断する人や時期により解釈や法令自体が変わる場合がありますので、ご注意ください。