※2019年10月15日配信メルマガVol.41より抜粋(一部加筆修正あり)
中小企業がとるべきニッチ戦略
ビジネスの世界では、競争による消耗戦を嫌い、孫子の兵法でいう「戦わずして勝つ」を志向する重要性がよく言われます。
その”非競争戦略”の最たる例が、「ニッチ戦略」ですね。
「ニッチ」とは「市場の隙間」を意味し、
市場全体の中で特定のニーズを持つ小さな規模の市場で、
優位なシェアを取って、収益を上げる戦略のことです。
小さな市場で優位に立つ「ニッチ戦略」では、
経営資源が少なくても、それを集中させることで高い収益を上げられ得る点で、
中小企業との相性が良いと言われています。
「いかに大手に参入されにくくするか?」がニッチ戦略の肝
「ニッチ戦略」では、売上規模よりも利益率を重視するわけですが、
気をつけておきたいのは、「いかに大手に参入されにくくするか?」ということです。
せっかく自身で市場を立ち上げたり、他社が撤退したりして「オンリーワン」になっても、
また、競合他社が弱いおかげで「ナンバーワン」になったとしても、
資本力の大きい企業が参入してくれば、
あっという間にシェアを奪われてしまう可能性があるからです。
大手に参入されにくくするための4つの方法
完全に参入を防ぐのは、なかなか難しいかもしれませんが、
せめて「参入されにくくする」ためには、下記の4つの方法が考えられます。
①市場規模を拡大しすぎない
②利益率を高めすぎない
③成長速度を速めすぎない
④商標や特許等の知的財産を活用する
企業規模の大きい会社ほど、設備や人件費等の固定費が大きいため、
固定費を賄えるだけの、
高い損益分岐点売上高が見込める大きな市場規模①と、
高い限界利益率②が魅力的になります。
また、成長速度が速い③方が、投資回収期間が短くなって望ましいと言えます。
したがって、これらの魅力を高めすぎないことで、大手が参入する可能性を減らすのです。
大手参入を防ぐカナメは「知的財産」
④は、①〜③のような消極策と違い、積極的な参入障壁策になります。
例えば、荷物の梱包材として用いられる「気泡緩衝材」。
みなさんが「プチプチ」と呼んでるアレですが、
実は「プチプチ」は川上産業株式会社の登録商標(登録第2622392号)で、
特許や意匠も多数取得してきました。
その長年の努力もあって、他社の参入を効果的に抑え、この分野ではシェア45%の国内最大手となっています。
また、工作でよく用いられる木工用の接着剤「ボンド」。
黄色い容器に赤いキャップでおなじみですが、
こちらも、接着剤の最大手国内メーカーで、瞬間接着剤「アロンアルファ」でも有名な、
コニシ株式会社の登録商標(登録第429201号他)です。
国内シェアはもちろん、ダントツ1位。
接着剤に軸を置く前は、ワイン製造と製薬を本業としていたそうで、
全く想像ができませんね。
サービス分野では、特許を取りにくいこともあり、参入障壁を作りづらいですが、
例えばカレーチェーンの「CoCo壱番屋」を運営する株式会社壱番屋は、
シェア8割を誇る、ニッチのトップ企業といえるでしょう。
2013年には「最も大きいカレーレストランのチェーン」としてギネス世界記録にも認定されたそうです。
顧客視点のサービスを徹底した「ココイチ」ブランドを作り上げたことや、独自の暖簾分けシステムも要因の1つではありますが、
実は、ルーの調達先であるハウス食品の持分法適用関連会社となることで、
市場での地位を圧倒的なものにしています。
新しい商品やサービスを検討する際は、
「いかに参入されにくくするか?」
という視点から戦略を見直してみるのも良いですね。
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