立ち上がりから災難の「立憲民主党」商標問題

立ち上がりから災難の「立憲民主党」商標問題

2017年10月3日

「サムライツ™」の弁理士、保屋野です。

衆議院総選挙に向けて、
野党第一党の「民進党」が、公認候補を擁立せずに小池氏の新党「希望の党」に合流することが決定しました。

ただし、その「民進党」の中で、「希望の党」と主義主張を異にする議員たちは、「希望の党」の公認を得られないとのこと。

その受け皿となる形で、民進党の枝野氏が新党を立ち上げ、
本日党名が発表されました。

その名も
「立憲民主党」。

しかしここで、商標の事件が発生!

なんと、「立憲民主党」が、すでに商標出願されていたのです。
商願2017-024072商願2017-028975
「PPAP」や「民進党」を無断で出願していた
“あの”悪名高き「ベストライセンス社」です。
(参考:商標「直虎」問題同日出願は「運」次第商標”大量出願問題”で不利益を受けないために

出願は今年2月にされています。
もちろん、「ベストライセンス社」は出願料を払わずに、
審査を引き延ばしているだけなので、登録になることは考えにくいです。
出願料を払って審査を受けたとしても、
著名な政党名と同一又は類似の商標であるとして、
審査で拒絶される可能性が高いです。
(以前、ドクター中松氏の「東京維新の会」が、同理由で拒絶されました)

つまり、枝野氏らが「立憲民主党」を今から商標出願しても、
登録を受けられる可能性は残っていますし、
使用しても問題が起こらない可能性も高いです。

とはいえ、船出からいきなり躓くとは、
「立憲民主党」もさんざんですね。

しかも「立憲」そのものの意味は、
「憲法を制定すること」。
あれ、それじゃ”改憲してもいい”又は”自主憲法を新たに制定する”ってことだから、希望の党に合流でいいのでは?と、
ネーミングと実体のズレも感じました。
(当事者たちは立憲主義って意味でつけたのでしょうね。
ただし、憲法は96条に改正条項が入っているので、厳密な”護憲”派はみんな改憲OKなのですが。)

今回はたまたま「ベストライセンス社」が先に出願しているケースなので、
出願料を払わず、問題にはならないかもしれませんが、
すでに誰かが商標登録をしていたとしたら、どうでしょう?
そうです、指定した商品やサービスと同一・類似の商品・サービスについては、使用できなくなります。

政党名をつけるときだけに限らず、
新しい商品・サービス名をつけるときは、
必ず事前に商標調査されることをおすすめ致します。